愛車コレオス

社内の飲み会で、久しぶりにアメリカで同僚だった宮根さんと会い、震災で車を流された話になった。

震災全体の被害のスケールを考えれば、車を流されたという程度のことは笑い話の範疇だが、その中でも被害の大小はある。私などは29万円のクソマーチが流されただけなのでそのショックは最小の部類だが、おそらく宮根さんはその対極に位置するだろう。

宮根さんいわく「ルノー社初の本格的SUV(スポーツ用多目的車)のコレオスという車で、納車して10日目でした」とのことだ。「ガソリンは入っていました?」と誰かが聞くと「納車のときに満タンにしてもらっていました」と残念そうに語った。車の値段からすればガソリン代などどうでもよさそうなものだが、車を流された人の間では、他に言う事がないこともあり、結構ガソリンの話題で残念がったり笑ったりするのだ。

津波の後で宮根さんは、3台重なった車の一番上に自分の愛車を見つけたという。大事そうにその写真を持ち歩いていた。