金擇洙のラケット

卓球映像クリエーターの仁禮さんに、とてもいい話を聞いた。

仁禮さんは、スーパーサーキットの撮影を担当したことが縁で、金擇洙と個人的に親しいという。それで、なんと金擇洙が2003年パリ大会で使ったラケットをもらったのだという。

その後、撮影で柳承敏に会った時にそのラケットを差し出したところ、柳承敏は握った途端に「これ、テクスさんのだ」と言ったという。仁禮さんが張ってあったラバーを剥がすと、そこには金擇洙のサインが現われた。

なんといい話だろうか。実はこれにはある程度タネがある。なんと柳承敏は自分のラケットを常に金擇洙に削ってもらっていたのだという。上下関係が厳しい韓国だからなのか、柳承敏が異常に金擇洙を尊敬していたからなのか、はたまた金擇洙がラケット削りに異常な能力を有していたのかはわからないが、ともかく、そのために削り方でわかったというのが真相である(左利きの劉南奎が一時コーチをクビになったのは、選手のラケットを無理やり左利き用に削ったからだろうか)。

それにしたっていい話ではないか。ちなみに仁禮さんは、そのラケットはあまりにも重くて、試合をすると1ゲームもたないのでほとんど使わないという。こちらはいい話なのかどうかはよくわからない。