交差歩

少し前、スポーツ界で活躍する日本人が、外国語を駆使していることを紹介するテレビ番組があった。

そこに石川佳純が出ていて、中国人のコーチがいるために中国語に堪能であると紹介された。中国では卓球の技術が日本より細かく言葉にされているので、卓球の技術を論じるときには便利なのだという。そこまではいいのだが、その例として「交差歩」と出たのには笑った。

「日本語では“足を交差させて飛びつくフットワーク”と言わなければならないのに中国語だと“交差歩”の一言で済む」と解説されていた。誰が“足を交差させて飛びつくフットワーク”なんて言ってるよ(笑)。交差歩はもとは中国から来た言葉かもしれないが、日本の卓球界でも60年代からとっくに使っている。視聴者に意味がわかりやすいからといって、ろくに調べもしないで適当に作ったのだろう。

もしかするとカスミンがディレクターに聞かれてそう言ったのかもしれないが、カスミンは特殊な環境にいたためかもしれないし、他人の言葉づかいなど興味がないだろうし、なにより私は彼女をこんなクドイ話に巻き込むつもりはないのだ(自分で取り上げておいてなんだが)。

とにかく、確認しなかったディレクターが悪いことに決まった。