昔、あみんという女性デュオがヒットさせた「待つわ」という曲があるのだが、私はこれが大嫌いである。といっても、この曲に罪はない。嫌いな原因は、私の特殊な体験にあるのだ。
この曲がヒットしていたころ、知人の女性から手紙をもらった。そのころは電子メールなどないから、電話以外の連絡は手紙だったのだ。その手紙は、普通の世間話の内容だったのだが、後半に、何の説明もなくこの曲の歌詞が書かれていたのだ。ところが私はそのとき、あまりテレビを見ないせいか、この曲をまったく知らなかったのだ。それで、私はこの歌詞をその知人の素の言葉として読んでしまったのだ。そのときの私の驚愕を想像してほしい。以下が「待つわ」の歌詞で、そのときの私の思いが括弧の中に書いてある。
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可愛いふりしてあの子わりとやるもんだねと 言われ続けたあの頃 生きるのが辛かった
(はあーっ?言われてないだろそんなこと。誰も言ってない言ってない!)
行ったり来たりすれ違い あなたと私の恋
(なっ・・行ったり来たりしてないだろ!あなたと私の恋って・・えーっ?)
いつかどこかで 結ばれるってことは永遠の夢
(む、結ばれるってアナタ・・・・・)
青く広いこの空 誰のものでもないわ 風に一片の雲 流して流されて
(なんだか知らないけど他の話になったようだな。その調子でいってくれ)
私待つわ いつまでも待つわ たとえあなたが振り向いてくれなくても
(おま、どうしたんだ一体?なんでそんなに唐突に・・・・)
待つわ いつまでも待つわ 他の誰かにあなたがふられる日まで
(だあーっ、余計なお世話だっ!俺はしょっちゅう振られてるけど、それとこれとは関係ねえっ!)
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という感じで、私は腰を抜かさんばかりに驚いたのだった。その後、これが歌の歌詞であり、知人はただその曲を気にいっていたので書いただけだということが分かった。しかしそのときの私の驚きというか不安は今でもその曲を聞くと思い出され、それがこの曲の印象になっているのだ。
そういうわけで嫌いなはずなのに、今もときどきこの曲が頭の中で鳴る。いろんな意味でインパクトのある曲だということだろう。さすがに一時代を築いただけの曲である。