かつての1980年代、日本には『卓球日本』という日本卓球協会の機関誌があった。そこで荻村伊智朗が毎月、昔話に筆を振るっていたのだ。
1980年12月号では、「世界で最も強かった男」と言われたチェコスロバキアのバーニヤという選手の眼力について書いている。荻村は小学校のときから人を正視する訓練をいやというほど受けていたので、バーニヤの眼力を見て只者ではないことがわかったという話だ。私など生前の荻村に会ったら、一体なんと言われたのだろうか。いろんな意味で恐ろしい(すべてを見透かされても嫌だし、まったく的外れなことを言われて気まずくなるのもまた恐ろしい)。
こうやって面白がりながらも、最後にある、次のような文章には感動で身を震わせてしまう。私にとって荻村伊智朗とはそういう人なのだ。
「勝つ時は誰でも精神が高揚していて、その姿はみごとであり、雰囲気は輝いており、絵になるものだ。負ける時にその精神がいつまでも記憶され、その姿が絵になる選手は本当のチャンピオンと言えよう。世界のチャンピオンでなくともよい。県の、市の、村の、クラスの、たった二人の間のチャンピオンでもよい。ローカルチャンピオンであっても同じである。やがて、だれでもそのチャンピオンの座を降りる時がくる。そのような時、私たちがどのように振るまうかが大切なことなのだ、と私はバーニヤから学んだのであった。」
すごいですね。卓球博物館でほしがるでしょう。博物館、スイスから上海に移転するのをご存知ですか。どうして移転するのか知りたいです。
いつもコメントありがとうございます。
博物館の移転の話は知りませんでした。維持費がかかるからとかあるのでしょうね。