よく表ソフトは球離れが早いと言われる。球離れが早いとは、ボールとの接触時間が短いという意味だと思われるが、実際には裏ソフトと接触時間に違いはない。それどころか、裏でも表でもただの板でも接触時間はいずれも1/1000秒と等しいことを今から34年も前にタマスが1秒8000コマの高速度撮影で実証をし、「卓球レポート1980年8月号」で発表しているのだ。
その他にも、1994年に日本卓球協会が発行した「卓球コーチ教本」には、裏ソフトと粒高とアンチでもやはり1/1000秒程度であることが書かれている。
これに対して、人間が手で感じることができる最短時間は1/100秒だから、接触時間の長短など絶対にわからないのだ。手に感じるラケットの振動(接触時間よりはるかに長い)と音とボールの飛び出す方向からなんとなくそう誤解しているにすぎないのだ。
ま、そう誤解していてもなんら不具合はないのだが、はっきりと間違いだとわかっていることが何十年も言われ続けているというのは、なんとも居心地が悪いものである。
昔よく、中国の上級者などを評価して、球を持つ時間が長いとか言われていました。
実際、楊玉華選手のプレーなんかを見ていると球を長く持って、相手の動きを見ながらいないコースへ打ち別けているようにさえ見えました。それには、あの中国製のグローブとかフレンドシップといった、ものすごい粘着性のラバーを使う必要があるのではないか、…と道具マニアの私は短絡的に考えたりしたのですが、恥ずかしい限りであります。
球を持つというのは、台でバウンドしてから床に落ちる球の軌道上の位置の、ある程度の段階を選択的に打てる溜めがあるということだと、今ならわかる気がします。しかし、それを、球を持つと表現すると、初心者には有害な誤解を招くことになりますね。
ひょっとして、楊さんが教えていた時代の福祉大の学生達が、こぞって中国製のグローブ(確か999という製品だった)を使用していたのも、強粘着ラバーが球を持てると誤解していたせいかも知れない。
KOです.
さすがに球がラケットに当たってから相手の動きを見てコースを変えるというのは無理ですよね.
お笑い動画ですが, 許昕と馬龍が遊んでいて球をラケットにくっつけている場面があります.これなら相手の動きを見てコースを変えられる!?
https://www.youtube.com/watch?v=aTziC9WxuHA
これは、もし実戦で出来ても、いわばホールディングになりますよね?!
球を打っていませんからね~.どう考えても反則ですね.厳密に言えばダブルヒットしているでしょうね.
やってみるとわかりますが,テンション系裏ソフトでこれをやるのはなかなか難しいです.粘着系裏ソフトとはいえ,許昕がそれなりの速度でボールが下降中にキャッチしちゃうのはさすがですね.うまくできるようになれば練習の時笑いがとれるかも知れません.
ある心理学者が鏡にまつわる現象を研究する中で言っていたんですが、「なぜ鏡は左右反転するのに上下は反転しないのか?」という問いに、物理学者は「反転しているのは前後の軸だけである」と答えてお終いにしてしまうが、心理学の研究は「なぜ人はこの説明でしっくりこないのか?なぜそれでも左右が反転してると思うのか?」とか「なぜ車のバックミラーをみても左右反転していると人は思わないのか?」などの心理現象を説明するのが本領だとのことでした。必要なのはそういうことなにかもと記事を読んで思いました。
Kzyさん スティーヴン・ピンカーの「心の仕組み」あたりに、考察がありそうですね!
朝永振一郎が「量子力学と私」岩波文庫、のなかで、その鏡の左右の問題について書いてましたね。なんと、朝永振一郎にすら、わからない問題らしい。
その卓球レポートの記事を昔見た記憶があるので懐かしいです。
もしかしたらこの実験は無回転のボールをぶつけたときの話で、回転がかかったボールをぶつけるとラバーの摩擦力の影響で接触時間に差が出るのかもしれません。
何かヒントがないかとインターネットで探したら次の資料を見つけました。このような論文は読みなれていないのでよく理解できないところが多いのですが、「ラケット重量が増してもボール跳ね返り速度にはほ
とんど影響しない」など興味深いところもありました。
http://www.jsme.or.jp/monograph/dmc/2002/data/pdf/218.pdf#search='%E5%8F%8D%E7%99%BA%E4%BF%82%E6%95%B0+%E6%8E%A5%E8%A7%A6%E6%99%82%E9%96%93‘
この論文は私も注目していました。ラバーを合わせて180gもあるラケットなら、よく言われる「ボールに押される」などというのは錯覚であるといえますね。
粒高ラバーの粒は1/1000秒では倒れきれないと思えてなりません。あと、非常に短い時間だと指で押したときの柔らかさなどとは違い、粒の剛性が増す気もします。粒高ラバーにボールが当たって弾む際のボールの回転やスピードの瞬間の物理学はまだマトモな研究による解明がなされてないのではないでしょうか?
HAHAHA.まあ「気持ち」早い感じじゃないですかね。
そういう感覚の方が事実よりも大事なことってあるかもしれないと思います。
P.S.
一度聞いてみたかったんですが、伊藤さんが今まで知ってきた選手の中で「この人が一番好き!憧れる!」という感じの選手はおられますか?私はやはり田中 利明さんですね。
なんといってもワルドナーです。次がアペルグレンですね。
ワルドナーより、アペルグレンのほうがイケメンっすね。私としては条太さんにはクランパを押してもらいたかった
古い記事へのコメントで恐縮です。
突然ふと頭に浮かんだので失礼します。
板でもどんな種類のラバーでも接触時間に差はない、という実験結果はさておき、
それを「ボールが重い」「球持ちがいい」というような感覚は錯覚なのかもしれないですが、
その感覚を頼りに、ボールのコントロールをしようとするので、その“感覚”が“錯覚”かどうかというのは
あまり関係ないのかもしれませんね。
人には目が2つ付いているのに、とりあえず正常な状態では物を見るとひとつに見えるわけです。
それもある意味”錯覚”だと思うのですが、それが錯覚だから…という話にはならないと思うので、
接触時間の事象そのものの分析は、卓球の技術向上とは別な話なのかも、と思いました。ふと。
そうですね。ほとんどの場合は錯覚のままで何の問題もないんですね。ごくまれに物理的に間違ったことを実行に移す場合に実害がありますね。
たとえば遠心力が球威に役立つと思っている人がいたとすると、大抵はラケットを速く振るほど遠心力も強くかかりますから、遠心力が大きくなるように振ると球威が出るのは正しいわけです。
しかし中には、ラケットを重くして遠心力を増そうとする人がいるかも知れません。これは逆効果なわけで実害が出ます。
接触時間の例で言えば、指導をする時に「接触時間を短くするようにレシーブせよ」と教える人がいるのですが、そもそも実態がないのでそれがどういう打ち方なのかわからないという実害が出てきます。そんなデタラメ言わず「こんな感じで」と目の前でやって見せる方がまだマシです。
返信していただき恐縮です。
ところで、私が2014/10/18の投稿に引用した記事への疑問なのですが、物が持つエネルギーというのはその物の重さ×スピードの2乗、という式を見たことがあるのですが、ラケットの動きに例えるとラケットを重くすると(ラケットのスピードを変えないという前提で)エネルギーが増える→ラケットに当たったボールに多くのエネルギーを与えることができる、ということにはならないのですか。
それとも、重さも影響するけどスピードを上げた方が(2乗する分だけ)影響が大きいので重さは軽くしてでもスピードを上げる方が手っ取り早い、ということなのですかね。
確かに同じスピードでスイングできれば、球威は増すかもしれません。
ただ、それは微々たるものでしょう。ラケットに比べてボールが十分に軽いので、ラケットはボールに押されないからです。
また、重いラケットは軽いラケットよりはスイングが遅くなりがちなので「ラケットのスピードを変えないで」という前提が現実的ではありません。
ありがとうございました!
記事を読ませていただいて、ふと、接触している時間を見える化する「球持ちテスター」なるものを試作しました。感圧センサーシートをラバーとラケットの間に挟みます。そして、回路を通して、マイコンで接触時間を計測しましました。
確かに、「卓球レポート1980年8月号」の記事のように、表ソフトと裏ソフトで接触時間に明らかな差はないようですね。
ただ、物理法則からは、柔らかい(剛性が低い)ほど接触時間は長いはずなので、
引き続き、ラバー硬度、厚みによる接触時間の違いを調べようと思います。また打ち方による接触時間の違いも調べようと思います。