日別アーカイブ: 2017年1月21日

審判の戦い

今年もDVD『ザ・ファイナル』の撮影のため、木曜から全日本の会場に来ている。

昨夜は、審判のために中学校の仕事を休んで来ている今野啓さんと夕飯をご一緒し、いろいろと審判と選手の戦いについて聞かせてもらった。DSC_0945[1]

審判と選手の戦いでもっともポピュラーなのが違反サービスで、その中でもよくあるのが、YGサービスを台の中で打つことだという。台の中で打つとよく切れるのか小さく出しやすいのかわからないが、とにかく選手たちは中に入れてくるという。

注意をしないと、審判を試すようにどんどん中に入れてくるので、1本目に注意をして自分の基準を示すことが重要だという。途中から注意をすると「さっきまでOKだったのに」と抗議をしてくるので、選手も100%わかってやっているという。全日本に出てくるぐらいの選手なのだから当然なのだ。

台上ドライブならぬ「台上YG」として要注意事項だ。

自分との戦いで一番ビビるのが、促進に関わる部分だという。昨日の女子シングルスで、佐藤瞳と牛島星羅の試合は、促進に入る直前のツッツキ合いが8分間続いた。当然、どちらも促進に入ることを覚悟したラリーだ。これだけ続くと、どちらがサービスだったのか覚えているのが大変で、心の中で「佐藤佐藤佐藤佐藤佐藤・・・」と唱え続けたりもするという。

それを思うと、何年か前に全日本の女子シングルスの決勝で平野早矢香と王輝が促進に入った試合を裁いた人はさぞかし緊張したことと思う。

さて、審判の判断で難しいのがエッジとサイドだが、迷ったときは、主審と副審の間のアイコンタクトで「そうだよね?」という感じで確かめて意を強くしたりするのだという。アイコンタクトでどうやってエッジかサイドかを伝えるのかと聞くと、なんと審判のルールブックにジェスチャーが書いてあるのだ。

片腕を上げるとサイドで、台を指さすとエッジだという。

DSC_0939ところがこのジェスチャーは秘密というわけではないのだが、選手も一般人も知らないので、片腕を上げるとそちらの点が入ったという意味に誤解されて大変に紛らわしい。

そう言うと、啓さんは審判の名札を付けたままの恰好で片腕を上げて見せた。店員が寄ってきたことは言うまでもない。DSC_0936啓さんはとにかく審判が好きで、ルールブックを読むのが楽しくて仕方がないという。明日は男女シングルスの決勝があるわけだが、それを誰が裁くことになるのかは当日の朝まで本人たちにも知らされない。さて、啓さん、明日は登場するのだろうか。DSC_0943