そろそろまた『ザ・ファイナル』の撮影の裏話を書こう。
今回の作品は、とにかくエンタータイメント性を重視したので、見栄えのするラリーが期待できるカットマンを優先して撮影することをあらかじめ決めていた。撮影の一部を担当した編集部の高部さんが「あのう、なんかカットマンだらけになっちゃってますが・・・」と不安そうな顔をしたものだった。「大丈夫、続けてください」と言いながら何かとんでもない間違いをしでかしているような不安に駆られたことを白状しておく。
しかし結果としては素晴らしいラリーや偶然が生んだ珍プレーなど貴重なカットを撮影できたので、正しい作戦だったと思う。
常時4台のカメラを回したはよいが、ひとつの試合を複数のカメラで撮影した場合は同じラリーを捉えた映像が4種類あるわけで、編集のときに選択肢がありすぎて頭を悩ませた。いっそのことカメラが1台しかなかったらどんなに楽かと思うものの、素材があるからにはベストのものを選ばないわけにはいかない、そういう不思議なジレンマだ。困ったのは、角度の関係で映像にカウントが映っていないし審判のコールも不明瞭なので、プレーそのものからしかラリーを特定できないことだ。
まあ、そうやって悩むところがまたいかにも創作活動をしているようで楽しかったわけだが(家の者にはどうもそうは見えなかったらしい)。
伊藤さんのことだから、アングルもそうとう拘って撮っているのかな?
いつもカメラワークの事を仰ってますけど、全日本、プロツアーともに
もう少し低い所から取ったり、違うところからのラリー映像も入れられないかなと思っています。
YOUTUBEで水谷VS陳杞から始まって馬琳VS松平のWTTCの映像は迫力満点で気にいっているんですけど。
おっしゃるとおりで、横浜大会の水谷vs陳キ、馬琳vs松平は素晴らしいです。今回はまさにあの映像を手本としてプロダクションの方々に見ていただいて再現してもらいました。他社のカメラとの場所取りの関係で自由にならない面はありましたが、できる範囲で理想的なカメラ位置になったと思います。ただ、反省点も多く、来年はもっとよくできると思っています。私は従来、カメラワークのことを声高に言っていましたが、一年前に今回の企画を決めたときからそれは止めました。テレビ放送がひどければひどいほどほくそ笑むようになってしまいました。すみません(笑)。
テレビ放送やittvではフェンスのスポンサー広告ができるだけ
多く映るようにするため俯瞰する形の放送が行われてると
思うんですが違うんですかね?
ゆえに個人が放送の仕方に文句を言おうが言うまいがあまり変わらないのでは、と思ったり思わなかったり…。
民放ならそういう面はあると思いますが、NHKはそういう必要はないように思います。そうだとしても、私が何度か手紙で意見を書きましたが一度として返事が来たことがないので、理由はわかりません。
世界選手権の場合は、ITTFがカメラ位置を高いところにするよう規定を作っていてテレビ局に従わせていることがわかりました。2010年モスクワ大会の会場でそれを決めている人物と話しましたが「高くて遠いカメラの方がいいと自分は思っている」と聞き入れてもらえませんでした。そう思うのならこれ以上どうしようもないとあきらめました。