写真を撮るときにピースサインをしなくなってから久しい。
大学2年くらいのとき、卓球同好会の部内の試合で入賞をして、その夜の飲み会で、商品をもらいながらカメラに向かってピースサインをしている自分の写真を見て以来、していない。
その酔っ払っていい気になった顔でピースサインをしている自分の写真を見たときにとても恥ずかしくなった。いい気になっているのが恥ずかしいし、それにこの動作の意味がわからない。なぜ自分はこんな、意味を説明できない不必要な動作をしているんだろうと考えたら、なんだかとても決まりが悪くなった。あえて意味をいえば、自分は幸福だ、元気だ、機嫌がよい、とでもいうことの意思表示だろうか。それにしてもはっきりはしない。
それに、日本中の小中学生が決まりきったように出すピースサインをなぜ私も同じようにやらなくてはらないのか。それで、二度とやらないことにした。
調べてみると、ピースサインの起源にはいろいろあるが、イギリスの首相チャーチルが第二次世界大戦のとき、ある戦いに勝ったときに勝利のビクトリーの頭文字の意味でVサインをしたのが起源だという説が有力のようだ。その後、60年代のアメリカでヒッピーたちが平和をうったえてピースサインを出して流行したようだが、今ではアメリカでは通常、する人はいない。
日本では、70年代に井上順がコニカのテレビコマーシャルでやったのが最初らしく、それ以前の日本人の写真にはピースサインはほとんど見られないという。
こういう歴史を考えると、ますますピースサインなどできない。
まあ、どっちにしても40すぎのオヤジがピースサインなど普通はしないわけだから、今さら力説するまでもないことだが。