私は方向感覚がいい方だと思う。といっても、地磁気を感じて北がわかるということではない。方向転換をした履歴を覚えていてだいたいの方向がわかると言うことだ。
特別良いわけではないと思うが、ときどき方向感覚が悪い人に出くわすので、「あ、俺はいいほうなんだな」と思うのだ。たとえば仕事をしているときに、部屋の中で別の棟の建物のことが話題になったとする。すると、ある人は無意識にその建物の方向を指差しながら離すのだが、それが90度以上も違ったりするのだ。私は「あれ?別の建物の話かな?」と思って、「え?こっちですよね?」などと言ってしまうのだ。当然相手は「どうでもいいだろそんなこと」と憤慨する。揚げ足をとったつもりではないのだが、あまりに違う方向を指されると確かめたくなろうというものだ。それにそんなにデタラメな方向なら指差すだけ害だ。
家でも、妻が「ガソリンスタンドで買ってきて」とやっぱりトンチンカンな方向を指して言う。「そっちにガソリンスタンドあるか?」と言いそうになって、すんでのところで止めた(ような気がするが、言ったかもしれない)。
おかしいのは、仕事中に「日本」の話をするときでさえ指差す人がいることだ。そんなに遠くのことを話すのに方向を意識するというのが可笑しい。いったい何の方向を指しているのかとよくよく考えてみたら、近くの空港を指しているのだった。実際には地球の裏側なのだから、斜め下を指すべきだろうが、そんなヤツいるかよ。