準決勝で王励勤が試合開始直後、ラケットを台にぶつけて「ラバーが5mほど裂けた」と書いたが、5cmの間違いだったので直した。
ある人から「ラバーが5mも裂けるなんて凄いですね」とメールをいただいて気がついた。でも、「さすが王励勤ともなると、20cm四方しかないラバーを5mも裂くことができるのか」という感じでとても可笑しかった。
準決勝で王励勤が試合開始直後、ラケットを台にぶつけて「ラバーが5mほど裂けた」と書いたが、5cmの間違いだったので直した。
ある人から「ラバーが5mも裂けるなんて凄いですね」とメールをいただいて気がついた。でも、「さすが王励勤ともなると、20cm四方しかないラバーを5mも裂くことができるのか」という感じでとても可笑しかった。
どうしても取れなかったタイトル、ついに獲った金メダルがオリンピックの金メダル。おめでとう馬琳。
馬琳は素晴らしい。表彰台でおきまりのメダルをかじってみせたのは「またか」という感じで決まりが悪かったが、まあ仕方ないだろう。金が通貨として流通しているときに本物の金なら柔らかいので歯型がつくことを確かめるための行為が発祥だ。選手はそんなこと知らないだろう。もっとも、Vサインもイギリスのチャーチル首相が第二次世界大戦のときに勝利を表すVictoryのVを指でしたのが発祥と言われている。まあ、そんなことはどうでもよい。
王皓、アテネに続いて銀メダル。これも悔しいだろう。
表彰台の3人を見ていると、馬琳はともかく、王皓と王励勤は本当におとなしく物静かな性格だ。暗いと言ってもいい。卓球の一流選手って暗いのか?と言われそうだが、その通りだ。バカみたいに明るい選手がこんな複雑で多様で精緻な競技をこなせるはずがない。そして暗いことは別に悪いことでもなんでもない。暗くて優れたもの、魅力的なものはいくらでもある。単に語彙のない人が何かを侮辱するときに使うだけのことだ。若い女性が魅力的なものをすべて「かわいい」というのと同じだ。語彙のない者が「暗い」と非難し、語彙のない者が「暗くない」と反論する。さらに語彙はあるが価値の多様性に気づかない者が「暗くない」と反論する。いずれもばかげている。
馬琳の動きは素晴らしい。
自分の体より左に来たボールを、そのボールが自分のコートに飛んできてから反応を決め(回り込むかバックを使うか)、そこから回り込んでフォアでドライブを打てるボディワークとフットワーク。素晴らしい反応時間と筋力、そして1時間も戦い抜く心肺能力。いずれも卓球競技の金メダルにふさわしい。
とっさにフォアに大きくふられたとき、普通なら当てるのがやっとのボールに対して頭から突っ込みながら腕だけでドライブをかける。これが素晴らしい。フォームの美しさを気にしていては決して身につかなかったであろう力の技術だ。
それにしても王皓のバックハンドは素晴らしかった。台上の横回転フリックはほぼノーミスだし、なにしろラリー中に馬琳のフルスウィングのドライブをバックハンドでカウンタードライブをしてことごとく馬琳のフォアを抜くのだ。なんという反射神経と精度だろう。バックハンドは体の前で打つので、基本的に打点を遅らせることはできない。フォアよりも持ち時間は短い。0.17秒の芸術だ。
馬琳が勝った直後から、観客が何かの歌を歌い始めた。馬琳の母体の歌だろうか、出身省の歌でもあるのだろうか。馬琳、観客席の男性のところに賭けて行って抱き合った。コーチか父親と思われる。ベンチで青い顔で悔しさをかみ締める王皓。
ここで初めてアナウンサーと解説者が映ったが、なんと解説者はアトランタ五輪銀メダルの王涛。重みのある歴史が羨ましい。
馬琳、ついにやった。ついにこのときがきた。涙が止まらない。
馬琳、ついに金メダルまであと1本。
どちらかがタイムアウトを取った。
馬琳のレシーブは特徴的だ。ほとんどがストップだが、微妙に横回転をかけてフォア前に止めることが多い。それを王皓が飛び込んでクロスにドライブ、馬琳はそれをまっていてカウンタードライブというラリーが多い。
いよいよ馬琳が金メダルに王手をかけた。
バックハンドは王皓の方が威力があるが、フォアドライブとカウンタードライブ、そしてボディワークとフットワークでフォアを使う頻度で馬琳が勝っている。
ゲームカウント 馬琳2-1王皓
中国どうしなのに会場は両者の応援で騒然となっている。すばらしい観客力。