職場にドッグという名前のエンジニアがいる。ドッグといってももちろんDogではない。Dougである。この二つの発音はアメリカ人にははっきりと違うらしいのだが、我々にはほとんど違いがわからない。
そこで、あるアメリカ人に「エンジニアのドッグとアニマルのドッグでは発音はどう違うのか」と聞いてみた。彼の答えは「オーライ、説明してやる。エンジニアはダーグ、アニマルはダーグだ」 ・・・同じじゃねえか。「違いがわからないからドッグの部分だけ交互に言ってくれ」と言うと彼は「イエス。ダーグ、ダーグ、ダーグ、ダーグ、ダーグ、ダーグ、ダーグ、ダーグ」と言った。もういい。ぜんぜん違いがわからない。違いが分かるように極端に言ってくれというと彼は「エンジニアはダーグだが、アニマルはダオグだ」と言った。なるほどそういわれるとわずかに違うような気がした。
それ以来、一部の日本人の間では、ドッグの陰の呼び名は「エンジニア・ドッグ」となった。ときどきドッグにわざとそう呼びかけると、当然ながらきょとんとした顔をしている。まさか自分が日本人から犬と区別がつかない存在であるとは思ってもいるまい。