8/8に書いた「町の様子」の写真が妙に不鮮明で見づらい写真だなと思った人はいないだろうか。この大きさだから目立たないが、これ以上の拡大には絶えない画質なのである。実はこの写真は2002年にこの町に出張にきたときに、デジカメがなんと50ドル(6千円ぐらい)で売っていたので思わず買って撮影したものである(私の髪が長いのはそのためだ)。
この製品はVivicamといって、いかにも安そうな名前の製品である。
パックを開けてみて、その究極の仕様に驚いた。
・液晶モニターもビューファインダーもない。使い捨てカメラと同じように覗き穴があるだけである。
・再生モードがない。モニターがないのだから不要なのだ。
・記録メディアが取り出せない。データはすべてUSBケーブルでパソコンに移すしかなく、そこで初めて撮影した画を見ることができる。
・フォーカスは人物用と風景用の2段階スイッチ
・電源は単三電池二本
・シャッターを含め、どのボタン操作をしても音など出ず、グニュッとした手ごたえがあるのみ。押したのかどうかは液晶デジタル表示をみれば分かる。
どうりで売っているときにパックされていて、決して触れず、いろんな角度から見られないようになっていたわけである。人間、ここまでやろうと思えばやれるのである。
ともかく撮影してみたが、ひどいのなんの。画面の中央以外はボケているし色は濁っているしそのくせときには鮮やかな虹色に滲んだりして、メチャクチャなレンズである。子供用のおもちゃの双眼鏡のプラスチックレンズのような感じだ。これほどひどい画像なのに、ちゃんと撮影モードが3段階に選べるようになっているのが可笑しい。先にブログにのせた町の写真はなんと「ウルトラ・ファイン・モード」で、生意気にも60枚ぐらいしか撮影できない。記録容量も小さいのだ。
これはおそらく世界でもっとも画質の悪いデジカメだろう。とはいえ、こんなものでもないよりはマシである。使い勝手も品質も最高に悪いが、役に立ったことは事実である。50ドルの価値はあったと思う。偉い。そしてこれが私の初めて買ったデジカメなのである。
こんなものとっくになくなっているだろうと思っていたのだが、今回赴任してこのカメラを買った店に行って見ると、なんと新商品「Vivicam55」というのが飾られているではないか!すっかり嬉しくなってしまった。もちろんあいかわらずしっかりとパックされているぞ!
がんばれビビカム!惰性なる人々を驚愕せしめ、自らの存在を世に知らしめよ!