ビートルズ9

今回はアメリカ盤『アーリー・ビートルズ』である。曲はイギリス盤の既存曲の寄せ集めで、ジャケットは『ビートルズ・フォー・セール』の裏ジャケットをそのまま流用しているというお手軽さだ。

どうしてこれを真似したかというと、バックの黄色の落ち葉の色が、家の馬屋(現代は馬がいないのだが、わたしの実家あたりでは昔のなごりで今でもこう呼んでいる)に、牛の食料として蓄えられたワラの束で再現できそうなことに気がついたからだ。

かくして、黒っぽい服を用意して、高校の卓球部のメンバーだけで撮影をしたのだった。これは大学1年か2年に帰省したときのものだ。なんだかまともすぎて可笑しい要素が何もない。こんな写真を撮ってどうしようというのか。あらゆる意味で救いようのない写真である。何かをしようという意欲はあるのだが、空回りばかりして本当に空虚な時期だった。

その頃、祖母に「何をやっても面白くない」と不満を漏らしたところ「バカいうんじゃない。20歳なんて一番楽しいときじゃないか。60まであっという間だぞ」と言われたことを覚えている。

それから20年。その祖母も昨年死んだ。たしかに40歳まであっという間だった。一般的には20代は楽しいものなのだろうが、こんな写真を撮ることしかやることがなかった20歳の頃には戻りたくない。今のほうがずっと面白い。
車マニアの大宮からメールが来た。「洗車場は6時からしか開いてないので5時からではなくて6時からです」だそうだ。同じようなもんだろ。