ホッケー観戦

仕事が終わった後、現地の人に案内されて、アイスホッケーの試合観戦に行ってきた。本物の試合を見るのは初めてだ。荒いスポーツだと言うことは聞いていたが、本当によく乱闘になった。たった20分間の1ゲームの間に取っ組み合いの喧嘩が3回もあり、その都度そいつらは退場になっていくのだ。しまいには片方のチームが3人だけになったままでゲームを続けたりしている。

見ていると、アイスホッケーにはサッカーのようにボールが場外に行ったりすることがなく、リンク内はすべて有効なので、喧嘩でもないことには選手は滑りっぱなしである。休むためにわざと喧嘩してるのではないかと思ったほどだ。

観客も、得点が入ったときよりも喧嘩が始まると総立ちになって奇声を発する。どうもそれが楽しみで見ているように思える。ベンチにいたスーツ姿の監督もこれまた救いようのない気の短さで、ことあるごとに全身を使って怒鳴っていた(もちろんこっちが負けているのだ)。おそらく、彼も元選手で、現役時代は猛牛のように荒くれていたのに違いない。まったくもってそういうスポーツなのだ。そういう気質の奴が選ぶスポーツだから監督までそうなのだなと納得した。

中学のとき、ある二人が教室で取っ組み合いの喧嘩を始め、組み合ったまま床に寝転がった。私は、この興奮しきっている二人がどれだけ外乱に耐えられるかを試したくなった。近くから小突いてみたりしても二人はまったく私のことなど眼中にない。それで、今度は黒板消しを二人の顔の前で叩いてみた。さすがに気づいたようで、組み合いながらも顔をそむけて「止めろバカ」などと私に文句を言ってきた。私は「お前ら、喧嘩してるんだろう。俺のことなど気にしないで相手に集中しろ」などと理屈にならない理屈を言いながら、今度は机を逆さにして二人に載せてみた。

だんだん他の見物人も同調してきて、みんなで机を重ね始めた。二人の上に机が5つぐらい重ねられたのを見てなんだか怖ろしくなり、二人が正気に返る前にと、私は教室を出たのだった。

その後どうなったかは覚えていない。