いきなり生検かよ!

耳掃除をして咳が出る人などどこにいるのかと思っていたら、さっそく妻に友人から「私も出る」とメールがきたらしい。不思議だ。

06年の1月に人間ドックで、前立腺がんを検知できるという血液検査PSAを行った。普通は40代では前立腺がんなどないのだが、選択肢にあったのでつい丸をつけて受診してしまったのだ。すると、値が6.4であり、がんの可能性があるという。調べてみると、PSAが4~9の人は、25%の確率で前立腺がんだとある。心配性の妻が騒ぎはじめた。

仕方がないので病院に行くと、医者は露骨に困ったような顔をして「42歳で前立腺がんにかかった人がいたら学会で発表できるくらいだ。そもそもどうして受診したのか」などという。ほとんどありえないというのだ。次の検査をするかどうかは私次第だという。それは費用と時間によると答えると、F/T比という血液検査があるという。それなら手ごろな費用なので、後日それをすることになった。何週間かして結果を聞きに行くと、その値もがんの疑いのある悪い値を示しており、医者の態度がすっかり変わっていた。前立腺から直接針で細胞を採取して検査する、「生検」を勧めるという。その検査をするためには、費用もかかるし、2泊3日で病院に泊まらなくてはならないが仕方がない。

前立腺は直腸のすぐ前にあるので、直腸側から超音波による映像を見ながら8箇所ぐらいに針を刺して細胞を採取するのだ。針はほとんど痛くなかったが、肛門が痛かった。

がんといっても、前立腺がんの場合は早期発見すればほとんどそれで死ぬことはないあまり怖ろしくない病気らしいので、結構気楽だった。いたって健康体なのに大手をふって会社を休んで病院のベッドで好きなことをするというのは得がたい経験である。「魔太郎がくる!!」「おろち」「三つ目が通る」などという古いマンガ本を持っていってかわるがわる読みながらパソコンで卓球王国の原稿を書くのは本当に楽しかった。結局、がんは発見されなかったのだが、PSAの血液検査だけはときどきやったほうが良いといわれた。

それで昨年ドーサンに赴任して、10月にPSAの検査をやったところやはり高かった。医者は思うところがあるらしく、2週間分の薬をくれて、飲んだらまたPSAをやるという。それで検査をしてしばらく結果を待っていると、いきなり超音波検診の案内が来た。それで昨日行ってきたのだ。

すると、どうも様子がおかしい。超音波検診をするだけのはずのなのに、「今日の検査の後は、渡す薬を飲めばあとは普段どおりに生活していいが、重いものを持ち上げるのだけは2,3日控えなさい」などという。超音波検診だけなのにどうしてそんな注意をするのかと思い聞いてみると、なんと生検もするのだという。聞いてない。だいいち、まだPSAの結果さえ聞いていないではないか。

すると医者は、「PSAの値が6.1とまだ高いので生検をすることにした」という。というわけで、てっきり腹にゼリーを塗られて超音波映像を見るだけだと思っていたのに、行ったらその場で直腸に器具を入れられて生検されてしまったのだった。日本では2泊3日で手術のようにものものしい感じだったのが、ここアメリカでは行っていきなりブスッである。まるで体温計で体温を計るような気軽さだ。「さすがアメリカ、進んでいる」と思うことにした。