月別アーカイブ: 2月 2008

座談会テープ

昨年、ドーサンに赴任する直前、2番弟子の田村と杉浦くんに私の送別会をしてもらった(文字通りさせたのだ)。会場は田村にまかせたら、やはり食い放題の店だった。しかしさすがにミルキーウエイのサラダバーということではなくて、どっかのビルの4階ぐらいに入っている洒落た店だった。

田村も杉浦君も学生時代からの卓球関係の友人なので、卓球を中心に語らった。田村がテーブルにi-podみたいなのを置いているので手にとって見ようとすると「触るな」という。どうして触ってはいけないのか、なかなか口を割らなかったのだが、とうとう、送別会の記念に会話を録音しているのだと白状した。それで赴任してから5時間分のデータが送られてきた。

そんなもの聞くヒマあるかよと思っていたら、その機会は意外と早く訪れた。昨年の夏ごろ、カゼで熱を出して2日ぐらい寝込んだ。そのときに寝ながらヘッドフォンで5時間分を2回聞いた。さすがに自分たちの会話だけに内輪受けの極致であり、熱があるのに面白くて寝られなった。しかも本人だけあっていちいち言うことに納得がいく。随所に忘れていた話題もあり、田村の仕事に感謝したい。

バカ話を録音するなど、ちょっと異常な感じに思えるかもしれないが、そうでもない。大学4年のとき、大学院の入試に落ちた。クラスで22人が受けて落ちたのは私と友人の2人だけだったのでさすがに落ち込んだ。するとたまたま東京の大学に通っている高校時代のクラスメートである小原から一本のカセットテープが送られてきた。聞いてみると、それは小原ともうひとりのクラスメートである佐々木が、酒を飲みながら高校時代のクラスメートや先生の悪口やら矢追純一のUFOやらノストラダムスの大予言やらを琵琶のようなギターをポロポロと弾きながら語っている愚劣なテープだった。落ち込んでいた私にとってこれは本当に楽しく、何度も何度も聞いたものだった。

私は友人に感謝したり、ましてやそれを公言することなどないが、このときばかりは本当にありがたかった。私がお返しのテープを送ると、その後も何度かテープが送られてきた(私には高校時代の卓球部以外の友人はこの二人しかいない。3年間、クラス替えどころか席替えさえなかったので、入学時の50音順の席で隣と斜め後だった小原と佐々木は3年間そのままだったのだ。姓名が友人を決めた珍しい例である。席替えはやった方がいいと思う)。記念に、送られてきた封筒をカセットのラベルにして大切に保管してある。

それ以降、私は録音を目的に自宅にマイクを2本備え付け、人を集めて数時間会話を録音して一本のテープに編集し、参加者に配ることを趣味としていた。座談会や討論会といってもすべてバカ話なので(寝る奴がいたらそいつの寝息を録音したり、悪口を言ってやったりだ)、一般的には何の役にもたたないクソテープであるが、20年も前の自分の声と頭の中が分かるテープなので、私にとってはこれほど貴重なものはない。

まだ若い皆さんにお勧めの遊びである。

サナギの缶詰

例の韓国雑貨店でめずらしい缶詰を見つけた。缶に印刷されてある写真を見ると、どう見ても何かのサナギのようだ。書かれていた英語を辞書で引いてみるとやはりサナギだった。私はサナギは食べたことがないが、写真を見ると、なにかイカの燻製のような色合いで、食べなくても味が想像できる。美味いに決まっている。鍋に入れて湯気を立てている写真が念入りで楽しい。

こういうものは気の持ちようである。海老などまるっきり昆虫と同じだし、蛙だって鶏肉と変わらない味だった。わたしはいわゆる青虫などは嫌いだが、蚕(かいこ)はきらいどころか可愛いと思う。小学校の頃、実家で養蚕をやっていた時期があるのだ。金になると思うと、気持ち悪いどころか「がんばってくれよ」というような気持ちになって、何匹もまとめて掌にのせてなでていたりした(ひんやりしていたな)。蚕を飼っている部屋に入ると、何万匹もの蚕が桑を食べる音が「ザーッ」と部屋中に響き渡るのが、当たり前とはいえ凄いと思った。

繭を作る時期になると、4cm四方ぐらいの格子が10×10ぐらいならんだ紙製の枠に蚕を一掴み置く。するとうまい具合に格子に一匹づつ蚕が入って、体を反らしながら口から糸を吐いて繭を作り始める。何日かすると完全に真っ白な繭ができ、あとはそれを棒で抜いて出荷するのだ。中のサナギはどうなったのか覚えていない。煮ていたような気もするし、繭を裂いていたような気もする。

毛虫と蚕の違いといえば毛だが、一概に毛があるから気持ちが悪いというわけでもない。杉崎君は何年か前の年賀状に「俺の可愛さランキング」というのを書いてきた。それによると、「猫>子供>ハムスター>亀」だそうだ。当時は息子が生れたばかりで情が移っていなかったようだが、さすがに今では一番だという。毛が生えている点で猫に軍配が上がったそうだ。

シャララ会長との邂逅!

1月12日にペンサコーラというところで卓球の試合に出てきた。そのあたりのことはまた雑誌に書くが、まさか国際卓球連盟のシャララ会長と試合をするとは思わなかった。まあ、ヒゲが似ているだけだと思うが(右が本物)。

郊外の風景

ドーサンから遠出をするとき、ふと車窓から郊外の風景を見ると、なかなか味わい深いものが見える。そのひとつがトレーラハウスだ。トレーラーハウスというのは、長方形の住居で、タイヤがついていてトラックで運ばれてきたものだ。そう考えると、なにかキャンピングカーのようなものを思い浮かべるかもしれないが、そうではなくて、これは貧しい人たち用の低価格の住居なのだ。移動を目的としているわけではなく、製造、設置までの簡便さのためだけにタイヤがついているのだ。電気も水道も下水も通っているらしい。低価格といっても家なので、300万円ぐらいはするのだろうがよく知らない。トレーラーハウスに住んでいる知り合いは一人もいないが、内部がどんな感じになっているのか、いつか見たいものだ。

また、以前、警官がレストランや自宅に帰るのにパトカーをそのまま使うことを紹介したが(10/30参照)、なんとスクールバスもなのだ。ドーサンに限らず、町の郊外に行くと、ときどき普通の民家の庭にスクールバスが停めてあるのをよく見かける。最初は、たまたま迎えに来たのかと思ったが、通るたびに同じ家の前にあるのでネットで調べてみたら、アメリカでは運転手が自宅にバスを持ち帰ることは普通なのだと書いてあった。

スクールバスについては、日本にはない交通ルールがある。スクールバスの上には降乗車中に光るランプがついているのだが、このランプが点灯中は、バスに向かって走っている車は対向車も含めてすべて停車しなくてはならないのだ。なかなかよいルールだと思う。

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