今回の里帰りでは、ほとんどの夜を仙台の妻の実家でお世話になった。義理の父親は美術に興味があり、茶の間の上のほうにはさまざまなお面が飾ってある。
その中のひとつが私に似ていると当時小学生だった姪っ子が指摘し、みんながそれに同意した。眉毛が太くて垂れていること、頬が赤いあたりがそう思われる原因だろうか。いつも他人の特徴をとらえたり描いたりしているのに、急に自分のことを言われるとあまり面白くはないものだなと思った。
夜は宴会を行った。例によって田村が「飲み放題」にこだわってみんなの批判を浴びたが、いざ行ってみると意外に美味しいことがわかった。田村は不当な批判をされたことに対していつまでも愚痴を言っていたため、「お父さんしつこい」と小学生の娘にたしなめられていた。
飲み会では、自称「師匠」がフォアドライブとバックドライブのインパクト近傍の理論を熱っぽく語った。
私はすっかり疲れてしまい、かべによりかかってついバックハンドで酒を注いで飲んでいた。
隣の女性は、私が学生時代に7年間お世話になった親戚に住んでいた、いとこで、私の知人とは旧知の仲だ。この日は、一度誘ったものの、「卓球の話ばかりで話が合わないだろうから、やっぱり来ないほうがいいんじゃないか」と言われたことがかなり悔しいらしく、「冷たい」と何度も何度も恨みがましいことを言っていた。
久しぶりの卓球は、以下のような面々であった。2番弟子の田村、3番弟子の小室、用具マニア杉浦君と岩井さんという面々だ。本人たちの名誉のため、いずれも仮名とし、なおかつどの顔が誰なのかわからないように配慮してある。
とくに2番弟子の田村は自分が弟子だという自覚に乏しく、「ブログに載せるのなら師匠じゃなきゃやだ」というので、そういうことにしておく。
岩井さんは、実力的にも用具的にも杉浦くんと匹敵する用具マニアであり、この10年で20本のラケットを買っている人だ。はっきりいって練習するヒマがないと思うのだがどうだろう。この日も、タマスから発売された『閃光MAX』という、ヒノキ単板のシェーク(!)を持ってきて話題をさらっていた。1ゲームごとに交代で試合をしたのだが、杉浦くんと岩井さんの試合になると、用具のウンチクに話がはずみ、試合が滞る一幕があった。さすが用具マニアである。
私はといえば、四十肩がひどく、田村にまで負け越すありさまで、「田村が師匠」というのもあながち冗談ともいえない状況であった。