月別アーカイブ: 8月 2008

王皓の勝ちパターン

巧妙極まりない裏面サーブをパーソンがまったくレシーブできない。回転がわからないのでストップすれば高く浮いて王皓が身を乗り出すようにして台上ドライ一撃でしとめる。台から出れば小さい体を一杯に使って目にも留まらないドライブでパーソンのフォアミドル、次のボールでバッククロスシュートドライブで抜く。ボールのあまりの速さと打点の早さにパーソン、ほとんど反応できず成すすべがない。

パーソンの勝ちパターン

パーソンは大男のくせに小技が得意だ。手が長いので台から距離をとっていても手を伸ばすだけで前で打球できるため、絶妙なストップやフリックが楽々とできる。フォアクロスを攻められればこれも簡単に手が届くので人をバカにしたような台外ストレートで王皓のバックを攻める。王皓がやっとブロックをしたらそれをコブラの一撃だ。

王皓が多少攻めてもなにしろ両ハンドブロックが卓越しているのでいくらでもブロックできる。王皓が疲れて攻めの手がゆるくなってきたら「それでは」とうやうやしく回り込んで広角ドライブでバキバキと攻め立てる。

王皓、勝つすべがない。

もうすぐパーソン対王皓

気持ちとしてはぜひともパーソンに勝ってもらいたい。しかし、卓球というスポーツが、40歳をすぎて一度引退した選手でも勝てるようなスポーツだというのもまた受け入れがたい(神の子ワルドナーなら別だ)。やはり王皓の精緻な現代卓球の前にはパーソンの古い卓球は屈するべきだろう。

つまりどちらが勝っても嬉しいし、不満が残るということだ。贅沢な悩みだ。とにかく世紀の準決勝なのだから、ワンサイドゲームだけは避けて欲しい。競りに競ってほしい。それさえあればどちらが勝ってもこの上なく楽しい夜だ(こっちの夜9時から試合開始なのだ)。

無冠の帝王 ゾラン・プリモラッツ

パーソンに負けたプリモラッツ(クロアチア)もなんとも気の毒なことだ。87年にニューデリーで世界選手権のダブルスで準優勝して以来、数々の戦績を収めてきたが、ヨーロッパ選手権、世界選手権、オリンピックの優勝は一度もない無冠の帝王だ(2位、3位は何度もある)。http://ja.wikipedia.org/wiki/ゾラン・プリモラッツ

そのプリモラッツが40を目前にしたオリンピックで奇跡的に準々決勝に進んだというのに、よりによって更に年上のパーソンに敗れるとは。プリモラッツがデビューしたときはすでにパーソンは名のある選手で、その後も飽きるくらい対戦し、たまに勝つことはあっても、ビッグトーナメントではことごとく敗れてきた。そして2008年北京オリンピック。「こんなところにまでパーソンがいるのかよ」「勘弁してよ」「頼むから早く引退してくれ」と言いたい気持ちだろう。

パーソン、ベスト4

パーソンがプリモラッツを下してベスト4に入った。次の相手は王皓だ。普通なら王皓の楽勝だろう。なにしろ王皓はこの2008年の世界ランク1位、本命中の本命の優勝候補なのだ。

しかし王皓はオリンピックには悪い思い出がある。4年前、アテネオリンピック決勝で、圧倒的に分のよかった韓国の柳承敏に堅くなって負けたのだ(柳承敏は逆に奇跡的な大当たり)。

さらに問題は、王皓は本当に強いパーソンとはやったことがないということだ。長身から繰り出す重い広角ドライブ、そして時折り放つバックハンドコブラスマッシュ。ドライブ全盛の現代において、あれほど強烈なスマッシュは大変な脅威だ。しかもパーソンはこれまで4度も中国を破って団体優勝しているので中国に苦手意識はないし、そもそも強力な精神力の持ち主なのだ。2000年のクアランプールで、2-2のラストで現男子監督の劉国梁を破った男なのだ。

これは王皓を破って決勝に行く可能性がある(ただその後は厳しいだろう。王励勤か馬琳では相手が悪すぎる)。

郭躍2-4王楠

王楠が決勝へ。なんという強さだ王楠。

味方としては頼もしいが、敵にしてこれほど恐ろしいチームメートもいないだろう。

いかに百戦練磨、中国の至宝といえど、引退間際のベテラン選手に負けた、現世界チャンピオンの郭躍、どれほど悔しいだろう。

これで決勝は王楠-張怡寧に決まった。これまで何度も世界選手権の決勝を争ってきた二人だ。そのほとんどで王楠が勝っているが、今回はどうだろう。

郭躍2-3王楠

王楠の粘りに、郭躍、フォアのミスが多く取られた。

郭躍がサーブのときに顔がアップになったが、汗がボタボタと落ちていた。王楠の粘りにかなりまいっているようだ。術中にはまったか。

郭躍2-2王楠

再接続したら見られるようになった。

王楠、中盤からバック側を回り込むようになって取り返した。

女子の試合のもっとも簡単に分かる戦術変化は、バック対バックからどちらが先にフォアで回りこむか、どちらが先に相手のフォアをつくかといったことだ。