例のDVDはすでに届いていて、何度か見た。
やっぱり画質が良い分だけカッコよさも増した感じだ。
英語の字幕がついているが、読むのが追いつかず、字幕がでるたびに一時停止をして流れを止めながら見ている情けなさだ。それでもやっぱり卓球に賭ける青年たちの厳しさ、想いに感じ入ってしまった。
当時、ゲナンに所属していた田崎俊雄選手も映っている。
さっそくこのDVDの販売サイトに感激のメールを出し、ついでにサイトの英語表記を多くすること、そして日本語字幕版DVDを出して欲しいことを力説した。日本中、世界中の卓球ファンがこんな映像を待っていると書いてやった。
一応、「日本語版を作る」と返事をもらったが、いつのことだろうか。とにかく、日本語版が出たらもう一度買わねばなるまい(英語版は2番弟子にでもくれてやろう)。映像作品というのは、時間の芸術なので、意味が分かればよいというものではない。いちいち一時停止をして字幕を読みながら鑑賞するなどとんでもない話だ。でも、本当に日本語版を作ってほとんど売れなかったらどうしよう。
下の写真はこのDVDからの、ワルドナー(この作品でも『天才』と表現されている)とボルのヨーロッパ選手権男子シングルス最終ゲームの映像だ。ワルドナーのボールのコースを見て欲しい。フォアサイドにはるか遠く離れた画面の外からボルのコートの右隅ピンポイントにストレートに打っている。卓球をやっている人ならこれがどれほどとんでもないコースかわかるだろう。フライトの99%が台の外、ネットのないところを飛ぶコースなのだ。こういうコースを表す決まった卓球用語はないので、私はこれを「台外ストレート」あるいは「ピンポイントストレート」「99ストレート」とでも名づけて、卓球界に定着させたい。テレビ中継もやりやすくなるはずだ。それにしても、一般愛好者のレベルだと、このコースを打てる状況、つまり、ネットの横から相手コートの隅が直接見える位置でボールを打つ機会すらないわけだが。何より凄いのは、ワルドナーは実戦中のボルの殺気あるシュートドライブに対して最終ゲームの大事な場面でこんなことをやっているということだ。
当然、こんな確率の低いコースはボルの「待ち」の中ではほとんどゼロにウエイトされていたので(だからこんなに左によって待っているのだ)、さすがに対応できずに頭からダイブしてしまっている。一方、ワルドナーは、万が一これを返されたときに備えてすでにコート中央まで戻っている。これらの位置取りをほとんど何も考えずに条件反射で行えなくては、卓球はできないのだ。
こんな映像を見ながら夜を過ごす。ああ、楽しい時代になったものだ。それにしてもこのDVD、パソコンでは再生できるのだが、DVDプレーヤーでは再生できなかった。DVDって本当にわけが分からない。