昨年公開されたアメリカ映画『燃えよピンポン』のことをブログと雑誌に書いたが、実は97年に同名の日本映画が公開されている。
監督は三原光尋、主役は高田聖子だ。調べてみると高田聖子は、朝の連続ドラマに主演したこともある有名な女優のようだが、三原監督はあまり有名ではないようだ。
・抱腹絶倒
・勇気百倍
・やる気満々
・最強爆笑コメディ
とパッケージに書いているが、可笑しいところが一瞬たりともない苦しい映画だった。面白い映画を作るということはかくも難しいものなのかと痛感した。
一方、『マジック・アワー』という映画を誰のどういう映画かも分からずに見た。映画への愛があふれすぎていてうっとうしいなと思ってみていたら途中からどんどん面白くなって、ついに声を上げて笑ってしまった。なんでこんなに面白いんだ?と疑問に思ったとたん、ハッと気がついた。考えてみれば、こんなに面白い脚本を書ける奴があの男以外にいるはずがない。三谷幸喜だ。これは三谷幸喜の映画ではないのか。そう思って最後まで見ると、やっぱり三谷の映画だった。まったく凄い男だ。
よく「どんな作品でも必ず作者が作品を通して言いたいことがある」というセリフを聞く。まるでそういうメッセージがなければならないかのような風潮だ。しかしそんなことは作る人の勝手だ。生活のために作りたくない作品を作る場合だってあるだろうし、言いたいことがなくたっていいではないか。
三谷幸喜の映画は言いたいことなど何もない。ただ面白いだけだ。もし三谷が言いたいことがあるとすればそれは「どうだ、面白いだろう。俺はこんなに面白い映画が作れるんだぞ」ということだろう。それも言いたいことには違いないが、そんなメッセージ、あえて耳を傾ける必要はない。