社交辞令

日本人は社交辞令が多く、アメリカ人は社交辞令を言わないので、日本に来たアメリカ人が困ることが多いなどという話を前々から聞いていたが、現実はその正反対だった。

アメリカ人は明らかに日本人よりも社交辞令を言う。初対面でも「今度遊びに来て」とか「バーベキューでもしましょう」と平気で言うが、ほとんどはただの挨拶で、本当に誘っているわけではないので、本気にするとがっかりすることになる。

妻も、知人に「今度電話するから電話番号教えて」と言われるのはいいのだが、その人に聞かれたのは3回めだという。電話番号を聞いたことすら覚えてないのだ。つまりぜんぜん電話する気などないのだ。あまりのことなので、その知人の携帯を取り上げて自分の番号を登録してやったという。

私も会社の同僚のアメリカ人から「今度釣りにでも行こう」と言われたので、喜んで日取りを決めようとしたら急にしどろもどろになられて気まずくなったことがある。

もちろん中には本当に誘っている場合もあるが、その見極めがよくわからない。まあ、私は日本人どうしでもその加減がよくわからないのだが。とにかく、「アメリカ人は社交辞令を言わない」なんてのはとんでもないウソだ。

日本でもときどき「近くへ来たら家に寄ってください」などという社交辞令を言う人がいるが、私はそういうことは一度も言ったことがない。万が一、来て欲しくない人に本当に来られたら思うと恐ろしくてとても言えない。それともああいうことを言う人はとても人間が好きな人で、誰に来てもらっても困りはしないのだろうか。