小説かドラマの脚本を書いてみようと案を練っているが、不思議なくらい何も思いつかない。練る案もない。いつも本を読んだりドラマや映画を見ては分析したりしているのに、自分で何か考えるとなると全然ダメだ。頭の中はまったくもぬけのカラだ。考え始めるとどうしてもすでにある話になったり、自分の意見を考えてしまう。根も葉もないことを考えるとはこれほどまでに難しいものなのか。それとも、フィクションを作ることのできる人はある特性があって、私のような批評家タイプはそれはできないことになっているのだろうか。
雑誌のコラムではある程度の読者を得ている私が、フィクションは一行も書けないなんてことは納得がいかない。
話を作るためには、登場人物が何かで困らなくてはいけない。困らないところにストーリーはない。病気で困れば医者の話だし、犯罪で困るのが刑事ものだし、片想いで困るのが恋愛ドラマだし、地位で困れば出世ものだし、金で困るのがサラ金ものだ(めったにないが)。
あとは、キャラクター主導なのかストーリー主導なのかがある。特徴的なヤツを主人公にしてその特徴をもとに話を転がすのか、環境を異常にして普通の主人公を転がすのかだ。いずれにしても何一つ思いつかない。これまで、こんなことを考えようとしたこともないので無理もないが、もうしばらく考えてみようと思う。
たぶん、書ける人というのは、こんな分析的なことなどしなくても、子供の頃からどんどん空想して話が湧き出てくるんだろう。私はそれがないので、上のように理詰めで要素を組み合わせて無理やり作るアプローチしかない。それにしても悔しい。
学校から帰ってきた息子が「まだ不思議なくらい何も思いつかないの?」と言う。うるせえよ。