ウォルマートの床屋で順番待ちしているときに、隣に座ったお爺さんと話した。なんと90歳のおじいさんで、床屋の前のベンチに座っているからてっきり床屋の順番待ちだと思っていたら、奥さんが買い物を終わるまで休んで待っているだけだという。
日本から来たというと、次に歳を聞かれた。答えるとしばらく考えてから「じゃ、戦争が終わったときのことは覚えてるな?」という。まさかと思いながら「日本とアメリカの戦争のことですか?」というと「そうだ」という。とほほ。私が生まれる20年前の話じゃないかよ。もう90歳なのでその辺はどうでもいいのだろう。
普通、会社の外でのアメリカ人の英語は早くてほとんど聞き取れないのだが、この人の英語は完全にわかった。どうしてかと考えると、90歳なので異常にゆっくり話すのだ。しかも耳が聞こえないので大声だ(周りの人に見られて恥ずかしかった)。終戦時にはニューヨークの部隊にいたというだけあって、南部訛りもなく聞きやすかった。ドイツか日本に行きたかったが終戦になって行けなかったと残念がっていた。どちらも当時のアメリカにとって『悪の枢軸国』だ。やっぱり退治しに行きたかったのだろうか。
年寄りにあまり話し相手がいないのはどこも同じらしく、私相手に喜んでいろいろと話してくれた。「俺の名前はフランク・マネーというんだ。Moneyのマネーだ。覚えておいてくれ。」と言われたので「OK、フランク・キャッシュ」と私のイメージするアメリカ風ジョークをとばしてやった。