ビデオ撮影考

私も世間の人たちと同様、子供の成長記録をビデオに撮影している。その中で、特に気を使っていることがある。

それは、運動会や学芸会などの特別な場面よりも、日常的な場面に力を入れて記録しておくことだ。特別な衣装を着たり、先生に仕込まれて芸をしているような非日常的な様子よりもむしろ、平凡な日常に、どんなことをしてどんなことをどんな風に話していたかこそ、後で振り返ったときに感慨深いに違いないと考えるからだ。

これは簡単なようで、実はなかなか難しい。なにしろ平凡な日常だから、撮影するときにはそのモチベーションがまったくないのだ。あくまで何年も後に見たときの楽しみのためであって、撮影しているときは全然面白くない(趣旨からして面白い場面である必要もない)。だから、撮影したくないのに一種の義務感で無理やりにときどき撮影するわけだ。意思に反してやるので結構苦しい。

しかしその甲斐あって、ときどきそれらの0歳からの記録テープを見ると、なんとも楽しい。兄弟で何事かゲームのことを真剣に話し合っていたり、取っ組み合いの喧嘩をしたり、何気ない日常の一場面が本当に愛しく感じられる。そしてそのような目で見れば、今日このときも、そのような大切な一日のひとつに変わりないこともあらためて実感させられる。

子供の成長記録に限らず、ぜひとも日常場面こそ記録しておくことをお勧めする。何の行事もない2009年のある日、家でどう過ごしていたかというのは、きっと後で貴重な記録になるはずだ。