尊敬する人

赴任をする前の研修で、何かの話の流れで講師が「子供に『尊敬している人はお父さんです』って言われたら嬉しいでしょ。嬉しい人手を挙げて」と言った。私は嬉しいと思わないので手を上げなかったら「あなた、嬉しくないんですか」という。「いや、嬉しくはないですね」と答えると「変わった人ですね」と言われたので、誉められたと思うことにして、それこそいい気持ちになった。

小さい子供に尊敬していると言われてなぜ嬉しくないのかしばらく考えてみた。無論、不愉快ではない。ただ、物事を知らない子供の戯言だなと思うだけだ。身内の大人だというだけで尊敬されて嬉しがるわけにはいかない。物事を知る歳になってなお私を尊敬し、かつそのポイントが的を射たものなら嬉しいと思うだろう。トンチンカンな理由なら「まだわかってないのか」と残念がるだろう。

私は子供に冷淡というわけではない。それどころか、尊敬されようが軽蔑されようが嫌われようが、そんなことはまったく関係なく私は子供を自分の子供だというだけの理由で底なしに大切に思っている。他にどんな理由も要らない。