ライオンの気持ち

小林秀雄で思い出した。そういえば、高校時代、現代国語の教科書に小林秀雄の文章が載っていたのだった。それはたしか、動物園の批判で、たとえ飢えても野生で暮らした方が動物は幸せだ、動物園などというものは止めろというような話だった。

これを読んで感想文を書く宿題があったのだが、私が親しくしていた友人が、なかなか面白いことを書いた。他の人が小林の文章に共感する感想文を書いた中、この友人は徹底的に小林秀雄をこきおろしたのだ。檻に入れられるより飢えた方がましだなどとどうして小林は言えるのか。ライオンやトラの気持ちが分かるのか。彼らに聞いてみたのか?という意見だった(ライオンの気持ちというところが可笑しい)。

先生がそれを朗読してみんなに紹介したとき、教室に笑いが起こったが、先生は「これは面白い」と高く評価した。高校時代の私は、まさか授業でこんな感想文を書いてよいものとは思っていなかったから、とても衝撃的で、その友人を見直したものだった。

ただし、その友人は高校を卒業してほどなく精神を病んでしまったが・・・。