パンク

私はロックが好きだが、そのくせ、マスコミなどで「ロック魂」「生き方がロックだった」などという表現を見ると、何か気恥ずかしい気持ちがする。今、こう書いていてもとても居心地が悪い。

それは、世間一般に思われているロックのイメージが「不良」「暴力」「粗暴」というものであり、私はもともとそういうものは嫌いだからだ。ニュースなどでロックという言葉が出てくると、ロックを肯定する内容であっても「本当はバカにされてるんじゃなかろうか」と思ってしまうのだ。

困ったことに私がもっとも好きなのはパンクロックという種類のロックで、もっとも過激で暴力的なロックなのだ。1977年のこの映像を見てほしい。
http://www.youtube.com/watch?v=TwUpZDf3aDA
技術も何もない、勢いだけなのだが、私はこのバンド、クラッシュに完全にノックアウトされているのだ。
ジョー・ストラマーのギターはただ痙攣しているだけだし、ポール・シムノンのベースはかっこばかりつけていてろくに弾いてないように見えるし、ミック・ジョーンズのギターは「もう一回同じフレーズ弾けねえだろ」と言いたくなるようなめちゃめちゃさだ。そこがかっこいい。

さて、私が否定している不良少年と、私が肯定しているクラッシュは何が違うのだろうか。彼らはただ音楽の才能があっただけのチンピラなのだろうか。そうは思いたくないが、実はそうなのかもしれない。

さらにこうも考える。クラッシュはロック史に残る偉大なバンドだから私は認めているが、もし今、同じ質の若いバンドが日本で登場したら、私はその価値を素直に認めることができるだろうか。できないような気がする。

この矛盾がどうにも困るのだ。