年別アーカイブ: 2009

ああ「農民食堂」

アトランタの日本食レストランでラーメンを食べた。これが前代未聞のラーメンで、汁は薄いはそのくせ変な臭みのある後味で、麺は普通だが、ともかくひどいラーメンだった。これまで食べたすべてのラーメンの中で2番目にまずかった。

こう書けば当然、1番目にまずいラーメンとはどんなものか興味がでるだろう。それは、私が通っていた小学校の近くにあった、町で最初の食堂である、その名も「農民食堂」という店のラーメンだった。確かにまわりは農民だらけだったが、どういうつもりでこんな名前にしたのだろうか。親しみを出そうとでもしたのだろうか。

それはいいとして、小学校高学年のとき、どういう経緯からかその店で一度だけラーメンを食べたのだ。それはもう筆舌に尽くしがたいラーメンだった。なにしろあなた、麺の塊が完全にほぐれずに固まったまま汁から頭を出していたのだ。しかも湯ですすいでいないので、麺の表面についている白い粉がそのまま汁に入っていて、白濁している(当時はそういう原因だとはわからなかったが、後に正しいラーメンを知ってからわかった)。さらに汁の塩味はほとんどなく、それになぜか胡椒がたっぷりとかけられていて、食べられないほど辛かった。

ラーメンの作り方をまったく知らない店主がラーメンを作って小学生の私に出したのだ。こんなことで生計をたてようと考えた店主のことを思うと、なんだか胸がしめつけられる。今でもときどきあの「農民食堂」という看板を思い出して、可笑しいやら悲しい気持ちになることがある。

その頃私は、店で食事をすることがほとんどなかったから、インスタントではない普通のラーメンというものを知らなかった。その後、隣町でラーメンを食べたとき、適度な塩味の澄んだスープと、ほぐれた麺を見てほれぼれしたものだった。

タマキチくんボール

いつもより10日も遅かったが、卓球王国の最新号がやっと昨日届いた。

ヤサカが楽しいマスコットのキーホルダーを出しているのを見て、ふと、私のマンガ、タマキチくんをボールに描いてみたらどうだろうかと思って描いてみた。もともとが球形の顔なので違和感がなく、いい感じだ。

このタマキチくんは、90年代半ばまで発行されていたTPS卓球トピックスという雑誌に、連載でもないのに私が毎月勝手に投稿して載せてもらっていた4コママンガだ。ちなみに、当時その雑誌の編集をしていたのが今の卓球王国の今野編集長だ。
http://www.geocities.jp/gendaitakkyuu/tm.html

注意深く見るとわかるが、実はこのタマキチ、白目と尖った鼻といった、通常のマンガの常識としては可愛いくないと思われる要素をわざと使って作ったキャラクターなのだ。考えがひねくれていたので、なるべく好感がもてない主人公にしたかったのだ。マンガの題名も「がんばれ」とか「それいけ」ではなく「おちつけ!タマキチくん」と嘲笑的だ。しかし憎らしくしたのになぜかしぶとい魅力があり、今ではなんだか可愛らしく思えている。できの悪い子供ほど可愛いという感情だろうか。

誰か商品化してくれないものだろうか。

本当の理由

ビートルズを無理して聴くことはないと書いたが、どうしてそういう気持ちなのかよく考えてみた。要するに、がっかりされるのが嫌なのだ。ファンなので誰かがビートルズを聴いていいと思ってくれればもちろん嬉しいのだが、往々にしてそうでもないのだ。

信じがたいことにもう14年も前になってしまったが、ビートルズの『アンソロジー』というCDがやはり世界同時発売された。2枚組が3作出たので、合計6枚という大作だ。マニアにとっては文字通りよだれが出るCDで、各曲の録音途中の曲や、正規版とは違うアレンジの曲が入っている素晴らしいものだった。

しかしこれはあくまでマニアにとってだけ素晴らしいものだったのだ。ところが東芝EMIはこれをあたかもビートルズのベスト集かのように意図的に誤解を許す宣伝をして大々的に売った。結果はもちろん、すぐに中古屋に山のように並んだのだ(私はそれを見越して3組とも中古屋で買った)。

「鳴り止まぬ心のバイブル」という白々しいキャッチコピーを今でも苦々しく覚えている。その帯を見て買った人が1枚目に入っている、ジョンとポールが10代半ばに出会った頃に自宅のレコーダーで録音した劣悪な「最古の音源」を聴いてどう思っただろうか。ジョン・レノンが歌っている途中で笑いが止まらなくなってけたたましく笑いながら歌うAnd your bird can singや、途中で間違えて演奏を止めるI’ll be backを聴いてどう思っただろうか。こんなものをマニアでもない人たちに聴かせるというのは間違っている。

今回のは音質が良くなるだけなのだからそういう心配はないのだが、過剰な宣伝をすれば、やっぱり「なんだ、全然良くないじゃないか」と思う人が出てくるだろう。そういう人がちょっとでもいることを考えるだけで嫌な気持ちになってしまうのだ。まあ、これもビートルズという超巨大なバンドのファンゆえの病気のようなものだ。あきらめるしかないのだろう。

ビートルズCDリマスター版

やっぱり注文をしてしまった。ビートルズのリマスター版CDボックスセットだ。ビートルズの音楽にとって音質は重要ではない、騙されてはいけないと思いつつ、ネットではやたらと盛り上がっているし宮根さんはもう注文したと言うし、どうせいつかは買うんだからと思い注文してしまった。

どこかのネットには「知らない人もこの機会にビートルズを聴いてみては」と書いてあったが、こういうのはなんだか居心地が悪い。何も無理に聞く必要はないのだ。ビートルズなどもう40年も前の音楽だ。彼らに影響を受けた優れた音楽家がいくらでも優れた音楽を作っている。卓球で言えば、ビートルズなど荘則棟や李富栄と同じ時代の音楽なのだ。当然、現代の卓球から見るべきものはない。彼らの卓球はとっくの昔に後進によって乗り越えられたものだからだ。

しかし音楽はスポーツと違って客観的な比較ができない。メロディの美しさを競うわけには行かないし、まさかギターの速弾きを競うわけにもいかない。ビートルズが現代の音楽に比べて優れているのかどうかの答えなど出しようがない。頭ではそう解っているのだが、私にはビートルズの音楽はやはり特別に思える。

しかし、そう思えない人が教養のつもりで無理に聴いてもがっかりするだけだし、そんな必要はない。それぞれの時代の人がそれぞれのビートルズを持っていればそれで十分なのだ。

音楽業界の物書きでなくてよかった。こんなことはまさか書けないからな。買う必要はないなんて。

ランチョン

こどもが保育所に入ったときに、昼食のときにつかう敷物として「ランチョンマット」というものを用意するよう保母さんから言われ、毎週持って行かせていた。

保母さんは当たり前のようにランチョンマットと言うが、私はそういうものは聞いたことがなかった。だいたい、ランチョンというのが何のことかわからない。昼食用なので、おおかた、ランチ用マットが訛ったものだろうと勝手に考えていた。

それでこちらにきてそれが間違いであることがわかった。我々がランチだと思っているlunchという単語は、実は正式な単語luncheonが省略されたものだったのだ。いったいどこの保母さんがこんな正式な英語を使うことを思いついたのか不思議だ。

これ、うちの息子たちが通った保育所だけなのだろうか。

私のパーマ時代

ちょっと前にパンチパーマのことを書いたが、私も学生時代、パンチとまではいかないが、パーマをかけていたことがある。

当時は、大学生になるとみんな思い込んだように一度はパーマをかけるような風潮があり、夏休みに高校の部活に顔を見せるOBはことごとくこれみよがしにパーマをかけていて、部員たちを「おおーっ」と驚かせていたものだった。

同じことが、大学を卒業して、企業に就職したOBがスーツ姿で部活に姿を見せることにも言える。

下の写真は、自分の写真の中でも1,2を争う嫌いな写真だが、恥をさらすのがこのブログの趣旨なので仕方がない。

花見で酒に酔って弁当を食いながら割り箸で素振りをしている。よく、アジアでペンホルダーが多いのは箸を使うからだと言われるが、いみじくもそれを証明した写真だ(ウソ)。

つくづくこの頃には戻りたくない。今の方が明らかに楽しい。

中学校の教室

教師をしている友人から「せっかくアメリカにいるんだから学校の様子を紹介してくれ」とメールが来た。

何を紹介したらいいかわからないが、とりあえず、教室の様子をお見せしよう。机が一列づつ並んでいるところが日本と違うかな。あと、壁に貼ってある世界地図が日本中心になっていないところかな。

パンチパーマの発祥

最新号の卓球王国に、卓球選手の髪型についてのコラムを書いた。ここで、80年代の卓球界でパンチパーマが猛威を振るったと書いたが、実はこれはなにも卓球界だけの話ではない。当時、日本の若者全体に流行していたのだ。

ネットで調べてみると、これは北九州市の永沼重己さんという理容師が、長髪によって理容店離れしている若者を取り戻そうとして、黒人の髪型にヒントを得て考案したのだという。名前の由来は、パンチが効いているからと言われているらしい。こういうものにもちゃんと考案者がいて歴史に名を残しているのが楽しい。

ギターの天才か?

Youtubeでキム・ソンヒと劉南奎の試合を探していて、偶然、Zack Kimという人の映像を見つけた。

http://www.youtube.com/watch?v=4Xo3C2ZyReY&feature=channel_page

http://www.youtube.com/watch?v=XZAaQXSjEwE

なんとこの人、2本のギターを同時に弾くのだ。韓国のテレビに出て珍しがられている映像も載っていたので、おそらくこの手法自体がこの人の発明で、他にやっている人はいないのだろう。

見たところまだ若僧だが、いったいどういうことでこんな技術を身につけたのだろうか。まだ素人だが、オリジナルの曲もそれなりの魅力があり、また、演奏中の顔がまた面白い。苦しんだり笑ったり悲しんだり陶酔したり、よくもここまで表情が変わるものだ。しかしなにか引き込まれる魅力がある。

音楽にとって技術は付随的なものであり、音楽の魅力そのものとは関係がないとは知りつつも、こういう映像を見せられると心動かされてしまう。これは天才だと思う。そのうち世に出るのではないだろうか。