同僚のスティーブが、いかにも得意気な顔で私に聞いてきた。「前から一度聞いてみたかったんだけど、日本人は納豆が腐ったのをどうやって判断するんだ?」とのことだ。もちろん、自分が納豆を嫌いなもんだからわざと皮肉でこんなことを言うのだ。私は「腐っても臭いでは分からない。もともと腐ってるといってもいいかもしれない。賞味期限はあるけどそれは美味しく食べられる目安であって、古くなった納豆を捨てた経験はない。」と言った。
また、日本でも地域によっては納豆を食べないところもあるので、好き嫌いは人種ではなくて小さい頃から食べていたかどうかで決まるのであり、スティーブも日本で生まれ育ったらきっと納豆を食っていたはずだと言うと、「俺はそうは思わない」と言った。思い込みが激しいようだ。
次に、ホヤとかウニの話になった。私はホヤは嫌いだが、ウニは好きだ。20歳ぐらいまでは生臭くて嫌いだったのだが、あるとき、高級なウニを食べたらまったく生臭くなくて食べられ、そのコツが分かると安いウニの味も楽しめるようになったのだ。
私が「新鮮じゃないウニは臭いけど、新鮮なウニは臭くないんだ」と言うと、スティーブは「女と同じだな」と言った。同じ部屋の10mぐらいはなれたところに女性もいたのだがいいのだろうか。だいたい、古い男も臭いのは同じだし。