卓球クリニック

ドクター・チョップ(カット博士)ことロナルド・ピータースのことは、このブログや雑誌に何度も書いたことがあるが、先週末、彼の家に泊りがけで行って卓球をしてきた。彼の家に行ったのは、10年前に出張で来たとき以来だが、あまりにインパクトの強い体験のためにときどき思い出さざるを得ず、10年ぶりなのに懐かしいというよりはどちらかというと「また来てしまったか」という、うんざりした気持ちになったのが可笑しかった。

私は卓球をする情熱はもうないのだが、今回、彼から「生徒を集めて1泊2日で卓球クリニックをやるので、コーチとして来てほしい」という申し出を受けたのだ。日当まで払うという。ピータースは72歳で、しかももう10年も癌を患っている。今年の3月頃には「4月から放射線治療を始めるのでもう卓球はできない」と言うので最後のプレーのつもりでスタンの家で卓球をしたぐらいだ。そのピータースがまだ元気で、今なお私から卓球を習いたいというのだ。どうしてこれを断ることができよう。レッスン料などいらないと、喜んでピータースの家に行ったのだった。

とにかく彼の家は凄い。外見は寂れているのだが、家の中は彼の好きなもので溢れていて、彼がいかに好きなことを好きなだけやって生きてきたかがよくわかる。しかもピータースはその「好きなこと」が多いのだ。卓球、鉄道模型、銃、ナイフ、オーディオ、古銭集め、そして家中を埋め尽くす本、本、本。今も現役の歯医者なので、お金には困らず、欲しいものはどんどん買うのだ。それらを少しづつ紹介していこうと思う。再来月の卓球王国の記事もピータースのことを書こうと決めている。

彼の家に入ると、食堂、台所、リビングと一直線に通ることになる。そしてリビングの右側にガラス越しに見えるのが彼の自慢の卓球場だ。写真中央がリビングから卓球場を見た様子だ。