ケンカ

仕事中に隣の席のマイクが「中学とか高校の頃、取っ組み合いのケンカをしたことはあるか」と聞いてきた。マイクが小さい頃の日本人の印象は、テレビで見る空手とかカンフーであり、日本人はケンカでそういう技やヌンチャクなどを使うのかどうかを聞きたかったらしい。私が「ない」と答えると「日本人はケンカをしないのか」と言う。「ケンカをするヤツらもいるけど、そういうのはだいたいデキの悪い学生なんだ」と言った。

するとマイク「俺はよくケンカしてたぞ。お前、俺がバカだって言いたいのか?やるか?」と拳を突き出して笑った。私は「アメリカでは反対で頭が良いほどケンカをよくするのかもしれないな。頭の回転が早い分だけ気も短いんだろう」とわけのわからない理屈を言って取り繕ったが遅かった。マイクはその後、あちこちの同僚にニヤニヤしながら「高校時代、ケンカしたことある?」と聞くのだった。「たぶんジョウタが判定してくれるよ」なんて言ってる。

マイクに、どういう理由でケンカになるのか聞くと、たとえば食堂で誰かが嫌な目つきで自分を見ていたら、「お前、何見てるんだ!」「見てねえ!」となってもうケンカだと言う。・・・やっぱりバカなんじゃないだろうか。

そこから子供への体罰の話になった。日本ではどのようにするかと言うので、「やる場合には平手打ちが一般的だ」と言った。すると後の席のベアリーまで一緒になって「それじゃ効かないだろ?」と言う。アメリカでは現在では子供に体罰をしたら警察に通報されるが、以前は当り前のようにしていて、ベルトとかしなる棒を使って叩くのが一般的だったと言う。「日本では子供を叩くのに道具を使うなんて聞いたことがないし有り得ない」と言ったが、彼らによると「平手なんかじゃ、7、8歳頃まではいいけど、大きくなると痛くないから効かないんだ」と言い、マイクはズボンからベルトを抜いてみせた。いや、実演しなくていいんだが。

どうも我々とは感覚が違うようである(感度が鈍かったりして)。

最後にベアリーは「スーパーに行くと若者がジーパンを腰の下まで下げてだらしない格好で歩いてるだろ。ちゃんと叩かなかったからだ。」と言った。「あれはただの流行だから叩くとか関係ないんじゃない?」と言っても「いーや、叩かなかったからだ」と言う。どこまで本気なのかはわからないが、なるほど、警察が体罰を取り締まらなくてはならないわけだと思った。