フォークの使い方

学生時代、洋風レストランにあまり行ったことのなかった私が、ミルキーウエイというファミリーレストランで食事をした。すると、行き慣れている友人がフォークの背にご飯や野菜を乗せたりして食べているのを見て驚いたことがある。フォークの背だから、当然外側に凸になっていて、ものを乗せるのにこれほど不都合なものはない。しかしその友人はその不都合な形をした部分に器用に食べ物を乗せて口に運んでいた。マナーだかなんだか知らないが、こんな不便なことは到底受け入れるわけにはいかないので、私は彼とは反対の面を使って食べたものである。

その後、アメリカ赴任になって、レストランでステーキを食べるようになって、私の考えが浅かったことが分かった。フォークとナイフでステーキを食べるときには、左手でフォーク、右手にナイフを持つのだが、ステーキを切るのに力が要るので、どちらもシェークハンドのように持たねばならない。そのまま持ち変えずに他のものを食べると、当然、フォークは背を上にしたまま使うことになる。だから、背を使った方が持ち変える手間が省けるだけのことだったのだ。もしこれをペンホルダーのように持ち変えれば、問題なく食べ物を凹の側に乗せることができるわけで、実際、アメリカ人も普通にそうしていた。

要するにこんなことはどうでもよく、好きなようにすればよいだけだったのだ。ヨーロッパではどうか知らないが、ここは日本なのでそんなことを気にかける必要はない。