カゴメとデルモンテ

カゴメとデルモンテが、福島産トマト栽培の今年度の契約をしないと発表した。
カゴメのホームページを見ると、契約しておいて検査して危険だと分かって出荷できない事態になったのではかえって農家に負担がかかるという理由があり、契約農家に対して買い取り予定額の3分の1相当額を経済支援するとあるから、カゴメの誠意は疑えない。買い取り額の3分の1を、栽培しないでもらえるのだから、経費ゼロでこれがそのまま利益となり、農家にとってはかなり助かるのではないだろうか。

さて、カゴメのこの判断に対して、批判と賛同の両方がネットで散見される。しかし、いずれの意見も数値を基にしていないので、私としてはどちらがどうとは言えない。
いくら農家が可哀想でも、本当に危険なら契約しないのは当然だし、危険でないなら危険ではないと消費者を啓蒙するのがメーカーの成すべき事だろう。

前から書いている通り、放射性物質は少しでもあったら毒ということではない。そもそも自然界にもともと放射線があるし、少量なら放射線はむしろ健康によいというデータすらある。また、放射線に限らず、どんなものでも過剰に摂取すれば健康を害する。トマトに含まれるビタミンAでさえ、過剰摂取すれば肝機能障害や奇形の発生を起こすことが知られている。ただしその量は、1日にトマトを30kg食い続ければである。そんなに大量に食べるわけがないので、我々はビタミンAを安全だとしているのだ。放射線だって同じように考えるべきなのである。

どんな測定値を考えるときでも、検出されたかどうかではなく、どれくらい検出されたか、それが害があるのかないのかなのだ。それ抜きにして「通常の100倍」だのと報道されるのでは、いたずらに恐怖心をあおられる。通常の何万倍だろうが、健康被害がなければいいではないか。そういう見積もりなしで、ただ「土壌から放射性セシウム検出」とだけ報道するのは、ただ読者や視聴者を驚かしているだけであり、面白半分に弄んでいるのと同じことであるから、こういう報道はいっさい無視すべきである。

カゴメの誠意は疑えないが、欲を言えば、これから露地栽培をするトマトについて、どれくらいの放射性物質が入り込む可能性があり、それを合計何kg食べればどれくらいの人が癌や白血病になる、だから危険なんだ、という専門家による見積もりがあればよかった。その数値が本当に危険ならば、納得もしよう。

そんな数値の見積もりもぜず、ただ「消費者が心配して売れないだろうから」という理由での判断なら話にならない。数値なしで「念のため」という根拠で話を進めるのでは、無知蒙昧な大衆と同じである。安全な値だけどちょっとでも放射性物質が入っているのは危険だという論調なら、そもそもビタミンAも奇形の原因なのだからトマトジュースなど危険で売れないということになってしまうではないか。