シチズンの選手との飲み会のとき、過去にやらされた練習で面白いものがないか紹介してもらった。何しろ全員が卓球のエリートである。勉強で言えば、四谷大塚→開成中学→開成高校→東大→外務省とでもいうような、超エリートたちなのだ。当然、それらの名門校の指導者たちは一癖も二癖もある人たちに決まっているから、きっと面白い練習があるに違いないのだ。
案の定、面白い練習が聞けた。その名も「3球目よっしゃ」と言う。指導者と選手全員が見守る中で、ひとりづつが前に出て、サービスを出して3球目攻撃をし「よっしゃー」とガッツポーズを取るまでを、なんとシャドープレーでやる練習だという。
人によってその「よっしゃ」の声が妙に甲高かったりしぐさに癖があったりして、見ていると可笑しくてたまらず、みんな笑いを堪えるのが大変だったという。中には、3球目を打ったのに「よっしゃ」を言わない選手がいて、どうしたのかと思っていると「すいません、今の入ってませんでした」と言ったという。シャドープレーはリアルに越したことはないが、リアルにも程があろう。もちろん本人は真面目だが、その殺人的な可笑しさに、死ぬ気で耐えたという。ちなみに指導者は憮然としていたという。
この話をしてくれた選手に、この練習の有効性を聞いたところ「まったく役に立っていないと思う」と語った。
さらに、指導者から与えられた罰に、「自動販売機に1分間話しかけて来い」というのがあったという。人が通る通路でそれをやるので恥ずかしいので一種の体罰なのだという。
後日、この話を後輩の田村にすると「条太さんはそんなの全然恥ずかしくないから罰にならないでしょ」と言われた。ああその通りだ。これぐらいのことが恥ずかしいようでどうする。