「卒業」じゃなきゃダメなの?

私の勤めている会社では、ここ数年、退職する人のことを退職といわずに「卒業」と表現する。もちろん、正式文書ではまさか卒業などとは書いてはいまい。あくまで送別会の案内や式当日でのスピーチでの話だ。一回や二回ならまだしも、ある時期からすべての案内が「ご卒業」となりひとつの例外もなくなった。

「退職」や「辞職」という言葉があるのになぜわざわざ卒業などと表現しなくてはならないのか。アイドルグループじゃあるまいし、まったく苦々しい限りだ。別に、卒業という言葉が嫌いなわけではないし、何かの意図を感じるわけでもない。ただ、流行しているからというだけの理由で、何も考えずに無意味な言い替えをするのが嫌なのだ。

まだ先があるという意味を込めてでもいるのだろうか。退職だって先はあるではないか。この分ではそのうち葬式でも「人生をご卒業され」などと言いかねない。卒業後は幽霊にでもなるっていうことか。

まったく、正常な感覚の人は残っていないのだろうかと思う。