リスクの判断

どこかの保育園で、福島から被災してきたことを理由に入園を断られた話がニュースになっている。まったくバカな話だ。「原発に対する不安の声が他の保護者から出た場合に保育園として対応できないことなど」が理由だという。

福島から来た人が入園すると周りの人が致死量を被曝するというならこれは断られても仕方がない。しかしそんなことは万が一にもないのだ(文字通り万が一にもない)。

だいたい、100ミリーシーベルト浴びたってそれが原因で癌になる人は100人に0.5人いるかもしれないという程度だ。日本人はもともと100人に50人が癌になるのに。しかもこれは「しきい値無し直線仮説」といって、100ミリシーベルトよりずっと多い被爆量での癌発生率から直線的に推定して、100ミリシーベルトでの癌発生率を計算して出した値なのだ。そもそもこの100ミリシーベルト浴びれば100人に0.5人が癌になるということ自体、本当かどうかすら誰も実証はできていない。100人に0.5人だけ癌が増えたなんてのはバラツキに隠れて、統計上実証できる数字ではないからだ。まったく影響がないかもしれないが、最悪に見積もってその程度だということだ。

これに対して、喫煙や飲酒と癌の関係は明白である。100人に0.5人どころではない。

ある飲み会で、関東地方に住む知人が私に「条太さんは子供に福島産のものを食べさせるのは平気なんですか」とあたかも試すように言ったが、まったく笑止千万な話だ。そんなことを心配するよりお前、酒飲むのを控えろよと言いたかった。

世の中には放射線被曝を過剰に心配する人たちがいるが、これは単に震災以来話題になっているもんだからそれだけがリスクだと思い込み、他のもっと大きなリスクを忘れているのだ。つまり単に流行にカブれているバカと同じことなのだ。そんなに命が惜しいのなら放射線のことよりも、酒、タバコ、スピードの出しすぎ、精神的ストレス、偏食、寝不足、過労に気をつけた方が良い。

この保育園も、頭のオカしい保護者によりそった判断をしてこういう処遇をすることで今度はマスコミや世間から叩かれ、結局は閉鎖に追い込まれたりするリスクを考えることが出来なかったのだろう。これも放射線という流行にカブれてしまってもっと大きなリスクを判断できなかったということなのだ。