スペードと杉

昨日から鼻水が止まらない。完全な水のような鼻水で、かんでも1分もしないうちにまた出てくる。何年か前にこういう症状の風邪をひいたことがあるので風邪かもしれないが、他の症状がまったくないのでどうやら花粉症のようである。これまで花粉症とは縁のない人生だったが、ついに私も仲間入りしたのかもしれない。

それで、ドイツでは花粉は飛んでいるのだろうかと思っていたら、田村によれば日本がバカみたいに杉を植えすぎたから花粉が沢山飛ぶようになったので、ドイツではそんなに飛んでいないはずだという。そこで私が「ドイツにだって杉の木はあるだろう。トランプの柄にもスペードが使われているくらいだから杉の木はポピュラーはなずだ」と言うと、田村が「スペードと杉は関係ないだろ」と言う。「何言ってる。スペードは杉だろうが。スペードのことを杉って言うだろ?」と私が言うと田村が「そんなバカな話は初めて聞いた」と苦しそうに笑い出した。

言われてみればそうかもしれない。私の実家のあたりでは、スペードのことは誰もが「杉」と言っていたのだ。それで、スペードとは杉の木のことだとばかり思っていたのだ。ヘタすると、英語で杉のことをspadeと言うとさえもぼんやりと思っていたくらいである。同様にダイヤのことは「角(かぐ)」と言っていた。クローバーが「三つ葉」なのはどこでもだと思う(実際には「みつぱ」と発音していたが)。ハートはさすがにハートだ。だからトランプをすると「杉の10」とか「角の2」とか当たり前のように言っていたのだ。

新潟出身の田村はこの杉と角というのがとにかく可笑しいらしく「こんな面白いギャグをまだ隠し持っていたのか」と今日になってもまだ笑っている。私は小さい頃からこう言っているので可笑しくもなんともないし、そもそもギャグではない。

悔しいので辞書でspadeを調べてみると「鍬(すき)」という意味があった。畑の土を掘っくり返す道具で、要するのスコップの先っちょのところだ。トランプのスペードはその形から来ているものと思われる。うーん、ためになるブログだ。

ところで「鍬→すき→すぎ→杉」というのはこじつけだろうか。

もしかして日本全国でスペードのことは杉と言っていて、田村がバカで知らないだけということはないだろうか。