愛しのワルドナー

宇都宮あたりの新幹線に車両トラブルがあったとかで、私の乗った新幹線は白石蔵王駅で1時間半も止まってしまった。まあ、これくらい遅れたところでワルドナーとフェッツナーのいるチームが負けるわけもないと思いつつ、1時間半遅れで入間市民体育館に着いた。「ほーいほほーい」などと無闇に笑いたくなる。気分が完全にオカしい。

体育館に入ってスリッパに履き替えようとするが、買ったばかりのバカ靴の紐がきつくて脱げない。くそ。なんとか必要以上に紐を緩めてまずは全体像を見極めようと二階席に上がった。会場には「よっしゃー」「パチパチパチ」という音が満ちており、いつもの市民卓球大会とどこも変わらない。どこにも金髪の男はいない(こんなときに限って日本人の金髪がいやがる)。

「ワルドナーはどこじゃーい」

と叫びたい気持ちをこらえつつ、なんとか見つけようと目を凝らして見たがどこにも見えない。もう降参して、知り合いのいる大会進行席に行って挨拶をすると「いますよ」と指差されたすぐ先に、神様はおわした。いた。ワルドナーが(フェッツナーも)いた。

市民大会の雑然とした風景の中に二人はちょこんと座っていた。