船乗りの人

出張のとき、毎晩のように同じ店に通っている。小さい店でいつも常連で埋まっており、ほとんどの人と顔見知りだが、必ずしも話すわけではなく、名前を知らない人も多い。

そういう常連客のひとりであるTさんと先日はじめてじっくりと話し、身の上話を聞いた。

Tさんは東京湾内で業者を運ぶ船乗りだという。船乗りも最近は厳しくて飲酒運転ができないが、つい6年ほど前まではおかまいなしだったという。本当だろうか。

ともかく、最近は厳しいし平日はあまり量を飲まないようにしていると言いながら、今日開けたという700mlの焼酎がすでに空っぽで、2本目を開けていた。この調子で毎晩飲んでいるとう。天候が悪ければ船は出せないので、そのあたりも計算に入れて、仕事がなさそうなときには思いっきり飲むらしい。

お父さんも船乗りで、あちこちで漁をしては各地の漁港に下す「モノホンの船乗り」で頭が上がらない。今まで3回遭難していて仲間は全員死んでいるのに助かった強者だという、なんだか恐ろしい話をサラッと語った。

お父さんも酒好きかと聞くと「まったくの下戸で、そのかわりコッチ専門」と言って小指を立てて見せた。船の上にはもちろんコッチなどいないわけだから、港や料理屋や宿屋のあたりでどうにかなるという話だ。

私から見ると、こういう言葉遣いや素ぶりがいかにも船乗りという感じで新鮮だった。

船乗りの人” への 2 件のコメント

  1. 陸サーファーならぬ、陸船乗りとかはいないんでしょうか?
    やっぱり船乗りの人は豪快なのですね。

    1. はい。とにかく豪快でした。
      船乗りに限らず、沿岸の人たちは豪快のイメージがあります。
      高校時代、大船渡高校の生徒たちと話した時に、悪ふざけのスケールが大きくて圧倒されました。
      ペットボトルのジュースに小便を入れて部員に飲ませてやったという話が忘れられません。
      飲尿方法が流行する前の話です。

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