毎週日曜の夕方になると家族が『サザエさん』を見る。その時間はたいていは私も家の居間にいるので、パソコンをしながら音だけは聞くことになる。
そこで気になるのがなんといっても冒頭の主題歌だ。
毎週毎週何年も聞いていてまず気になるのが「買い物をしようと街まで出かけたが、財布を忘れて愉快なサザエさん」というフレーズだ。財布を忘れた本人はどう考えても愉快ではないのだから、これは第三者の感想だろう。人が財布を忘れたことがそんなに愉快だとはなんと意地悪なのだろうか。そもそも愉快と言うほどのことか。
あとはやはり「みんなが笑ってる」というフレーズで、これは間違いなく被害妄想者の感覚だ。実際、高校時代のクラスメートでこういうことを言っていた奴がいたのだ。みんなが自分の学生ズボンを笑うから買い直さなくてはならないと言い、週に2回も買ったものだったが、後に彼は正式に入院してしまい、単なる変わり者ではなかったことが証明された。
病気と言えば、ある会社の同僚によれば「クラリネットこわしちゃった」も「大きな古時計」も頭がオカしい人の歌だという。クラリネットは音が出ないような壊れ方をするものではないし、100年も前の時計が動くと思う方がどうかしているのだそうだ。どう考えてもこの同僚の方がオカしいと思ったものだった。
まぁクラリネットの歌はサビの歌詞が気が狂っているようにも聞こえるのでその同僚さんあながち間違ってはいないかもしれませんよ。
もはや日本は既に、お魚くわえたどら猫を追いかけ、猫から取り返したお魚を人間が食うという生活水準ではないから、サザエさんはもはや、非現実的な、アナクロニズムっす。
実は、小学校では二年生のとき以外の五年間、学芸会の主役をやり、特に五年生のときは、オルフェウス神話をアレンジしたかぐや姫ものの近親恋愛モチーフの劇をさせられてしまったため、校内では冬ソナのペ・ヨンジュンなみのスターにされてしまい、うわさでもちきり、指さされ噂される毎日だったので、被害妄想のような現実だった!あと、電車に乗るとあっちでもこっちでも、上司の石川さんや、石川先輩の話が聞こえてくるが、さすがにそれは、私のことではないことくらいはわかったが、世間にはかくも石川が多いのかとは思わされた!被害妄想的な現実から出発したため、どうも、被害妄想と現実をみきわめがたい。
現実と妄想の区別がつかない件、ご愁傷さまです(笑)。