卓球の打法の表現はややこしい。
「○○打ち」という言葉の名付け方が2種あるのだ。ひとつは、自分がどういう打ち方をするのかに基づいた命名であり、もうひとつは、相手のどういうボールを打つかに基づいた命名だ。
前者は自然なことだが、後者は卓球に特有のものだろう。なぜそういう言い方があるかといえば、卓球ほど相手のボールによって打ち方を大きく変えなくてはならない球技はなく、相手のボールを強く意識しなくてはならないからだ。
あらためて整理してみよう。
フォア打ち:フォアハンドでゆるい前進回転で比較的遅いスピードで打つこと。試合中ではなく練習でラリーを続けることを目的とした場合に使われる。
流し打ち:主にフォアハンドで、自分から見てフォア側に逃げるように打つこと。自分も相手も右利きの場合は、相手のバック側に逃げるようなる。
ミート打ち:死語になりつつあるが、主に下回転に対してフォアで攻撃をする場合に、前進回転よりスピードに比重をおいた打法。「フラットで打つ」とも言う。
ショート打ち:相手のショート(死語になりつつあるが、ペンホルダーのバックブロックのこと)のボールをフォアハンドで打つこと。主に練習に対する表現。使用例:「死ぬほどショート打ちのドライブさせとけ」
カット打ち:相手のカットボールを前進回転にしてゆるく打つこと。決め球ではなくつなぐ場合に使われる。カットに対しては繋ぐことが多いため。使用例:「ドライブマンには朝から晩までカット打ちさせとけ」
ツッツキ打ち:相手のツッツキのボールを打つこと。こちらは決め球の意味合いが強い。
ロビング打ち:相手のロビングをスマッシュすること。
これでは知らない人が間違えるのも無理はない。
いつも興味深く読ませて頂いてます。
「流し打ち」がちょっと理解しづらいのですが・・・・
私(右利き)個人的には、相手のフォアへ打つと見せかけてバックへシュートさせて打つのを「流し打ち」と勝手に思っています。
死後じゃなく生きているうちに理解したいです(苦笑)
はい、私もそのつもりで、自分のフォア側=相手のバック側という意味で書きました。利き腕の注釈をつけずに書きたかったものですが、わかりにくいですよね。
ちょっと直して置きました。
死後の件、誤記を訂正します。ありがとうございました。
早々の返信ありがとうございました。私の方こそ「相手も右利きの場合」という注釈が必要でした。すいません。
おっ!私のコメントについてブログ書いて頂いてとても嬉しいです!
なぜ、ややこしい表現が存在しているか理由まで考えたことがなかったので、なるほどと思いました。
そういえば、中国語だと日本語より細かく技術用語があると聞いたことがあります。
それにしても、私はこんな丁寧に言葉の定義を教えてもらった記憶はないのですが、こんなにも複雑な表現が地域の壁も越えて伝承されている事に驚きです。
インターネット時代の前から、ちゃんと浸透してた様に思います。
○○打ちが新しいブログになった(^^).
流し打ちも余り聞かなくなりましたね.
一番使われたのは,
左利きのペン(特に表や一枚)がバック側に回り込んで少しラケットのヘッドを立てるようなイメージでシュート回転のボールを打つとき.
右利きのフォア側へ逃げるようなボール.
今のシュートドライブのようなボールは流し打ちとは言わなかった.
最近だと,渡辺将人,田勢邦史か.
外国選手なら何志文.
右利きでは河野満もよく使っていた.
もっと昔なら,富田芳雄(一枚)か.
いかん,どんどん話が古くなる(^^;).
伊藤さんが書いていないところで,トップ打ちはもう死語ですかね.
表ソフトの頂点打.相手のボールが前進回転のときに主に使う.
ツッツキを頂点で打ってもトップ打ちとは言わないようだ.
角度打ちはミート打ちとほぼ同義.
左手打ちは右利きがラケットを左手に持ち替えて(あるいはその逆)打つこと.
グルッバが時々使っていた.
伊藤繁雄も使ったことがあるらしい.
この前の全日本でも一度見たのだが,誰だったか忘れた.
水谷-平野の決勝戦だったか?
背面打ち:フォアで待っていて急にバックに速いボールが来たときに背中側で打つことを言う.
手打ち:昔は手打ちはダメで全身を使って打てと言われたが,ラバー性能の向上や戻りの速さの問題でそうでもなくなった.
チキータだって,昔だったらボールこねるなといわれたと思う.
フォア打ちはあるけれど,バック打ちはないな.普通バック対バックという.でも,バック対バックというともっと意味が広がるような気がする.
他にもありますかね.
やまださん:
> インターネット時代の前から、ちゃんと浸透してた様に思います。
インターネットどころか,東京オリンピックの頃から(半世紀以上前)から浸透していましたね.
背面打ちはなかったようですが.
KOさん:
不思議ですね(^o^)。そんな昔だったら、例えば、「ツッツキ」のことを「サシコミ」とか言って、地域性が出てもおかしくない気がします^^;
やまださん:
たしかいあまり地域性はないようです.
想像でしかありませんが,終戦の次の年1946年に全日本や高校総体が再開され強い選手が一同に集まる機会が得られたこと,雑誌も出されたこと(今に続くニッタクニュースは1947年創刊,卓球レポートは1957年創刊),などが大きいのではないでしょうか.中央からの情報発信は影響力があります.
卓球の単行本も戦後早い次期に出版されています(伊藤さんが詳しいと思います).先人の熱意には敬服するばかりですね.
カット,ドライブ,ショートなどは戦前からあった用語ですが,ツッツキは戦後荻村の時代からの用語と思います.スポンジでカットが打ちにくいので使われるようになった技術です.
最近はカットマンでなくてチョッパーということも増えました.
私が大昔に買った卓球の本(野村尭之)には中程度のボールでコースをつくのをプレーシングと書いてありましたが,完全に死語ですね.
なるほど、まさに、先人が作り上げた「文化」と言えるのかもしれません。
言葉が出ては消える辺りは卓球の奥深さと技術変化の激しさを表れでしょうね。
私は卓球レポートの存在が大きかったのではないかと思います。
卓球レポートによって日本の卓球用語が統一されたのではないでしょうか。
根拠はありませんが、そう感じます。
地域性ということで思い出しました。
私が通っていた中学校では表ソフトのことをなぜか【浅粒(あさつぶ)】と呼ぶ文化たがありました。
2000年ごろのことで、雑誌やカタログなどで【表ソフト】という呼び方を知っていたはずなのに、日常会話ではずっと浅粒という単語を使い続けていました。
高校に言ってそれが【方言】のようなものだと指摘されて以来、恥ずかしくて使うのをやめてしまったのですが、今考えると不思議な話です。
他にも探してみれば方言のようなものがあったりするんでしょうかね…?
浅粒というのは初めて聞きました.粒高でないという意味なのでしょうか.オートモさんの中学と高校は同じ地域なのですよね.おっしゃるように不思議な話ですね.
以前は粒高とイボ高が拮抗していたようですが,今はほとんど粒高といいますね.そういえば,大昔一枚ラバーのことをイボラバーと呼んでいた時期もあったと思います.
もうひとつ思い出しました.昔はラケットのことをバットという言い方もありました.例えば荻村伊智朗の「中高校生指導講座」ではバットと呼んでいたと記憶しています.今は完全に死語ですね.
一部は勝手な想像ですが、私の中学校というのは山の中にあり、地区で十数年連続で最下位だったと言われるような学校で、近くに卓球クラブも無いような状況だったので、どこかできっと粒高を使って活躍した先輩がいて、その人の知識や戦術をベースに【浅粒】という言葉が生まれ、後輩たちに伝承されていったのではないかと思っています。
高校は電車で三駅ほど離れており、中学校から見れば大分都会にありました。
また、外部からコーチも出入りしていたので、その辺りも環境は違いました。
ラケットをバットということについては、アメリカで行われている1枚ラバー限定、21点マッチの卓球の試合を『ハードバット選手権』と言うらしいので、世界的に見れば完全に死語というわけでは無さそうです。
海外から伝来した言葉が根付く難しさを感じた次第です。
粒高も表も粒には違いないが,上から見ると粒高は粒の部分が深く普通の表は浅いというわけですね.粒高は何と呼んでいたのでしょうか.深粒なら面白いですが.
アメリカで一枚ラバーの試合があるのは知っていましたが,『ハードバット選手権』という名前は知りませんでした.ちょっと調べてみたらちゃんとHPがあります.
http://www.hardbat.com/hardbat.html
いろいろ調べていたら,US オープンには hardbat の部もあります.
Youtube に動画もあります.
もっと驚いたことには US オープンにサンドペーパーの部もありました.Youtube にもサンドペーパーの動画があります.
http://www.youtube.com/watch?v=TcxKsmRTwcA
帽子をかぶっているのが Marty Reisman という昔の名選手で,戦前に5度の世界チャンピオンに輝いたビクトル・バルナと世界選手権で対戦した動画が残っています.
伊藤さんが以前にアメリカ(?)の卓球ショップでサンドペーパーラケットを見つけて驚いたことを書かれていましたが,ちゃんとサンドペーパーの試合もあるのですね.
もうひとつついでに,ラケットはパドル(paddle)という言い方もありました.パドルはカヌーなどで使う櫂ですが,草創期の卓球のラケットは柄が長くてちょうどこのパドルのような形をしていたのでそう呼ばれたのです.
もう一つ思い出しました.ラケットは「へら」と言い方もありました.50年近く前に60代だった方がそう言われていました.昔はラバーを張らないで木のままでもルール上OKで,「木べら」と呼んでいました.木べらのプレーヤーがときどきいて,ほとんどがショートマンでしたが,希にカットマンもいました.私も木べらのショートマンと試合したことがあります.少し後輩の奥さんが木べらのショートマンでした.全日本の混合複で2度優勝した福田京子選手が木べら(裏面に裏ソフトだったと思う)でした.
さすがに死語だろうと思って「卓球 へら」でググってみたらいくつか出てきました.
>KOさま
粒高は残念ながらそのまま粒高と呼んでいました。
中学と高校は中体連の区分けベースで言えば同じ地域でしたが、中学は相当に山の中にあり1学年2クラスとか1クラス。卓球クラブも市内には1つしか無い(ジュニア選手がいるクラブチームに行こうと思うと隣の市まで行かなければならない)という案配なのでかなり特殊な環境だったものと思います。
練習試合も、たまたま顧問同士に面識のあった特定の学校としかやっておらず、年間スケジュールも総体と新人戦を除くと市民大会とその他1試合にしか出ないという案配でしたから、所謂『ガラパゴス化』してたのでしょうね。
浅粒の由来は今でも謎なままです。
ちなみに、パドルと言えばアメリカではピストルパドルという変形ラケットが最近売られていますね。
http://www.pistolpaddle.com
メーカーに問い合わせたところITTFの試合では使えないとのことだったのであくまでホビー用と思われますが、卓球台の消費量が世界一と言われる国だけあって硬式卓球以外にも様々な文化が生まれているのは興味深いです。
オートモ様:
> 粒高は残念ながらそのまま粒高と呼んでいました。
粒低では語感が変だから浅粒になったのですかね.英語では粒高と普通の表を区別するときに long pips,short pips というようです.
ピストル型のラケット(ハンドソーラケットという呼び方もあります)は日本では1970年代前半くらいからあります.ピンメイトというメーカーが出していました.後にはヤサカでも発売していました.昨年試合でピストルラケットの人と当たって負けました(^^;).
> メーカーに問い合わせたところITTFの試合では使えないとのこと
ラケットに形の制限はないはずなので,材質がダメかそれとも ITTF の公認を取っていないだけかですかね.あれ,ラバーは ITTF 公認がありますが,ラケットは ITTF 公認というのがそもそもないような気がしてきました.
オートモさんご紹介のページをよく見たらラバー張りラケットのようです.ラバーにはメーカーのロゴも ITTF マークもないようなので,これでは使えませんね.ラバーをはがして公認ラバーを張れば使えそうに思えます.穴のところははずして張らないとメーカーのロゴが欠けてしまってアウトですね.
皆さんで「マツコの知らない世界」にプレゼンして、是非出演してくださいませ。番組になるかわかりませんが、マツコも新三大松下浩二で喜んでいたので、決して卓球嫌いではないと思います…
期待しています。
全日本選手権を見に行って思ったのですが、どの選手も試合後全くファンにサインをしません。客席でしているのは見かけましたが。
サインをもらいに行ったファンに帰れと促す警備員もいました。
選手全員がそうだったことを考えると試合後、ファンにサインをしないようにという指示が回っている気がするのですがどうなんでしょうか?ジャパンオープンでのフェンスが倒れたことが原因でしょうか(現場にいましたがあれは観客というより警備の初歩的なミスです)
海外の試合での日本選手はファンにどういう対応をしてるのか、ご存知でしたら取り上げて頂けないでしょうか。
ちなみに2014の世界卓球団体東京大会は選手の動線が客席に接していて、皆結構サインに応じていたように思います。
大会のウエブサイトを見ましたが、特にサインについては書かれていませんでした。
選手への指示があったかどうかはわかりませんね。
進行を遅らせないためにそういう指示があったとしても不思議ではないですが。
もし指示があったとすれば数分のファンサービスより試合進行を優先するのは非常に残念です。なかったとしたら選手の意識が低すぎます。
この調子ではTリーグの成功などとてもおぼつかないのでは?
テニスでは練習が公開されていて選手は練習後にサイン 勝った選手は 試合後にサイン
プレイヤーズエリアから一般のエリアの出入り口でサイン、また大会中のサイン会やキッズテニスレッスンなど観客が参加して楽しめるイベントがたくさんあるのに比べ、卓球は試合を見せるだけ。
これでいいんでしょうか?