月別アーカイブ: 3月 2017

デイル・カーネギー『人を動かす』

久保さんは徹底的に自らの存在を隠してきた人だったが、実は久保さんがそうしてきたのは、持って生まれた性格ではなくて、明確な理由があった。

久保さんは東京生まれだが、戦争のため、小学校5年生の時に大阪に疎開をした。そこで東京弁を使ったものだから、文字通り何度も袋叩きに合うほど嫌われたそうだ。

そんなとき、ある本に出合った。デイル・カーネギー著『人を動かす』だ。その本はさまざまなエピソードの寄せ集めからなり、一貫して主張していることは、「主張するな、人を説得しようとするな、それこそがもっとも効果的に人の心を動かす」ということだった。

そこで久保さんは意識的に、自分のことを言わない、自慢話をしないと言ったことを徹底した。最初は意識してそうしていたが、次第にそれが自然に身につき、人格になった。それ以来、他人からの評価が劇的に変わり「話せば話すほど損だ」ということがわかり、その生き方を徹底するようになったという。

私にはとても実践できそうにないが、ともかく私もすぐに『人を動かす』を読んでみようと考えた。読むと言っても、昭和五年生まれの久保さんが十代の頃に読んだ本だ。今も売っているのだろうかと思って本屋に行くと、なんとショーウインドウに通りに向けて10冊以上も並べられているではないか。80年も前に出版されたのに、とんでもないベストセラーである。

直ぐに買ったことは言うまでもない。

ヨネックスの卓球ユニフォーム?

ヤフーニュースを見ていたら、夏目三久というアナウンサーがCMのために卓球をする姿を撮影したとあった。

https://videotopics.yahoo.co.jp/videolist/official/others/p81024ea6ec01bdf18337c80eb61bf71b

説明書きを見ると「卓球のユニホームに身を包んだ夏目三久アナ」とあった。

「どれどれ」とよく見ると、なんと胸にはヨネックスのマークが。卓球のユニフォームじゃない(泣)。短パンはちゃんとバタフライだったので、これはスポンサー料を反映してのことと思われる。

ヨネックスの店舗に行って卓球のユニフォームを探す人がいそうだが、それはないのだ。

 

 

現代卓球を創った男

今月の卓球王国に追悼原稿を書いたが、偉大な卓球人が亡くなった。

久保彰太郎、86歳。

卓球マニアでさえこの名を知る人はほとんどいないだろう。私も2003年にお会いするまでまったく知らなかった。

荻村伊智朗著『卓球・勉強・卓球』の77ページに、

「夜中まで練習をして、万年浪人の久保という人を自転車に乗せて帰ると、途中で沖縄ソバにありつける」

というフレーズがあるのを後で見つけたぐらいだ。

また、1990年代に、新しいラケットのアイディアを卓球メーカー各社に送ったところ、タマスからだけ返事があり、試作品まで送られてきて「試作しましたが効果が見られないので製品化はしない判断となりました」と丁寧な手紙が添えてあった。

どこの馬の骨とも知れない私のアイディアを、無視するどころか試作までして返事をくれたタマスの姿勢に感服したものだったが、久保さんとお会いした後で、10年ほど前にいただいたその手紙のことを思い出し、引っ張り出してみたところ、差出人の欄には案の定、久保彰太郎と書いてあった。

よく映画などで「裏で世界を動かす陰の実力者」などが出てくるが、久保さんとお会いしたときに思ったことは「そんなこと、本当にあるんだ」ということだった。

久保さんは、1960年代から1990年代までのタマスの製品のほとんどの開発を手掛けた人物なのだ。世界一のシェアを持つバタフライの歴代製品を開発したということは・・・卓球が用具の影響が大きいスポーツだということを考えれば、それはある意味、現代卓球を創ったいうことだ。しかもその会社生活の後半はタマスの実質的な経営者であり、重要な事業判断を次々と下していた。

そんなとんでもない重要人物が「万年浪人」(ひどい扱いだ)としてしか本に載っていなかったのは、久保さんが徹底的に自らの存在を隠し続けてきたからだった。それは自己顕示欲、自己陶酔といったものを、それが自分の中にもあることを認めるからこそ極端に嫌悪したためだった。

晩年は、ブースター問題の解決に情熱を傾けた。

東京・吉祥寺にある久保さんの自宅で、卓球界の裏話や用具の真髄を聞く至福の時間が、もう二度とないと思うと寂しくてならない。

卓球王国で連載を始めたおかげで久保さんとお会いすることができたのだから、その幸運だけでも感謝しなくてはならないとは思うのだが、やはり失ったものの大きさを実感している。

意地でも「ショット」を使いたいようだ

敵もさるもの、平野早矢香が言ってもいないのに「ショット」を付け加えてる。くうーっ(泣)。勝負あったか。

しかし、卓球を始めて1年半の小学生に卓球を教える企画なのだから、安定してないといえば打球に決まっている(まさか精神的に不安定とか生活が不安定とかと誤解する人はいないだろう)。

平野のセリフそのままで何が不足なのだろか。

と、「ショット」が嫌いな私は思うのであった。