ガイスラーのフェアプレー

フェアプレーということでは、1969年世界選手権ミュンヘン大会のとき、荻村伊智朗が朝日新聞で紹介した試合がある。

引用しよう。

「しかし敗れたとはいえ、ガイスラー(東ドイツ)の試合ぶりは見事というほかない。審判のミスによる得点に際して、つぎの点をわざと相手に与えるのは卓球競技の伝統的な美風だが、自分のスポーツ生涯の二度とないもっとも大事な場面で、ガイスラーはこの美風を発揮した。しかも、その直後の思い切りのよい攻撃。この数分間はこの大会のもっとも美しく、感激的な場面であった。国は分かれていても、このような高いスポーツ精神にあふれる同胞をもったことを、西ドイツの人々は誇らずにはいられまい。」(1969年4月29日付)

詳細を調べてみたら、これは女子シングルス決勝で、相手は日本の小和田敏子だった。1ゲーム目の18-16で小和田がリードしたところで、小和田がネット際のボールをスマッシュして入ったのだが、審判はこれをムーブドテーブル、つまり卓球台を動かしたとして、ガイスラーの得点にしたのだ。台に触れたかもしれないが、とても動かしたとは思えないほどの量で、少なくとも日本でなら絶対にミスをとられない状況だった。「ガイスラーは、この大事な場面、勝ちたい場面で、わざとサーブミス。万雷の拍手」と当時の卓球レポートは伝えている。

ガイスラーはこのフェアプレーの直後、なんとこのゲームを逆転で取っている。結果的に3-1で小和田に敗れたとはいえ、凄い選手がいたものだ。卓球ファンはガイスラーの名を忘れてはならない。

左から小和田、ガイスラー、浜田、アレキサンドル。

ガイスラーのフェアプレー” への 2 件のコメント

  1. ヤフーニュースで伊藤先生の記事を拝見しました。流石の内容です、感動しました。あまり卓球の知らない友人に展開したところ、こういうコメントを聞きたかったと。身内の方が褒められたようで、嬉しかったです。(すいません。。)

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