張本夫妻インタビュー

先週から今週にかけて、卓球王国の依頼で、張本智和選手のご両親に別々にインタビューを行った。

見事なまでに対象的なお二人だった。

お母さんの凌(リン)さんは、深く智和選手の将来を思い、取材中に2度涙を流した。

一方の宇(ユウ)さんは、卓球が好きでたまらず、智和選手を日本チャンピオンや世界チャンピオンにしたいとか、そんなことは考えたこともなかったという。それどころか、卓球場経営すら考えてもいなかったという。

このような対照的な二人ではあるが、いかんせん、二人とも元中国ナショナルチームにいたという点では共通している。恐ろしいことだ。

いろいろなことがわかった実り多く感動的なインタビューだった。

詳しくは卓球王国6月号に書くが、そこに書かないこととして、ひとつの発見を書く。

凌さんは現役時代はカットマンだったが、バック面が表ソフトだったという。バック面表といえば95年世界選手権天津大会で大活躍した丁松を思い出すが、なんと凌さん、85年に四川省チームに入った段階でバック面表だったという。

理由を聞くと、攻撃をしやすいためもあるが、粒高では対ドライブに対して切ることしかできずナックルが出しにくいので「変化が小さい」ため、中国ではバック面粒高のカットマンは、他国を想定した練習相手としてしか存在しないというのだ。それも80年代の昔からだ。

裏にしないのは、裏では回転に敏感すぎてこれまたドライブを返すのが難しいからだという(フォア面が裏なのは、恐らくサービスと攻撃のためだろうが聞き忘れた)。

こんな話は初めて聞いた。「本当か?」と思って00年代に日本で活躍した帰化選手、王輝のラバーを調べたら、確かに表ソフトだった。

知らないのは私だけだったのだろうか?

だとすれば、なぜ日本のカットマンは今もバック面粒高が多いのだろうか?

興味は尽きない。

張本夫妻インタビュー” への 8 件のコメント

  1. 卓球王国ではこれまで何回(「羽佳純子の卓球教室」など)か、中国のカットマンが表ソフトを使う話を掲載しています。羽佳さんから聞いたところでは、中国では「カットで守りきる」という考えはなく、「カットの変化から攻撃につなげて得点する」というのが考えの根本にあるそうです。

  2. なるほど、私がカットマンにあまり興味がないためにセンサーにかかっていなかったのですね。表を使う選手がいることはわかっていましたが、ほぼ全員そうだとは知りませんでした。
    凌さんも「攻撃なかったら負けるの時間、遅くなるだけ」と言っていたのが面白かったです。厳選された単語による表現で、切れ味が抜群でした。

  3. 私は卓球王国主催、高島規郎のカットマン育成講座に参加したときなのですが、高島さんや松下浩二さんは粒高で普通に攻撃していましたね。
    恐ろしかったのは現役時代の高島さんが若いワルドナー相手にカットでは勝てないから、中陣から粒高で攻撃する荒業で勝ったという話でした。
    実演もしてくれて、とんでもない威力でした。

    1. おお、ご参加されていましたか。
      高島さんのツブ高の攻撃、凄そうですね。私も見たかったです(笑)。

  4. 中国のカットマンでいえば 思いつくままに かつうろ覚えですが・・・

    張燮林 ペン 片面 粒高1枚(男子)
    王志良 シューク フォア裏 バック不明
    林慧卿 フォア裏 バック粒 (女子)
    鄭敏之 不明(両面1枚?どちらか粒高?)(女子)

    梁戈亮 シェーク バック面粒高→両面裏ソフト攻撃型→
        バック粒カット主戦オールラウンド

    陸元盛  フォア裏 バック粒 (両面同色時代の記憶)

    王浩  フォア裏 バック粒(たしか)

    丁松  フォア裏 バック表

    羽佳  フォア裏 バック表

    王輝   フォア裏 バック表

    ワン・シ(王熹) フォア裏 バック粒

    侯英超  フォア裏 バック表(スペクトル)

    両面 同色OKの時代だとアンチや粒高も有効だったかもしれません。

    表ソフトでも 回転系(スピンピップス 閃霊)スピード系(スペクトル)変化系(ドナックル アタックエイト オリジナル)など様々です。

    プラボールになって やはり粒高の効果が薄くなってきたようで
    特に女子の選手では表ソフトが多くなってきたように思えます。

    日本はなぜ粒高が多いのか・・・・・・
    松下 渋谷選手の影響が大きいのでしょうか。
    高島選手はたしか現役最後に両面裏ソフトからバック粒高に
    変更されたのは覚えていますが・・・。

    村松選手も 一旦バック表からバック粒高→またバック表に
    戻しているようです。

    まことに興味深いところです。

    1. なるほど、貴重な情報ありがとうございます。
      今後の参考にさせていただきます。素晴らしいです!

      1. オールドファンのKOです.
        少し追加とコメントさせて頂きます.

        男子
        黄亮,裏+粒
        陳新華,裏+アンチ
        チョウ明,裏+アンチ
        王俊,ペン片面粒
        陳衛星,裏+粒

        女子
        童玲,裏+粒
        胡麗梅,裏+粒
        范瑛,裏+表
        武楊,裏+表

        王志良は両面裏でした.
        鄭敏之は両面1枚でした.

        橋本帆乃香もバック表です.

        両面同色でよかった世界選手権は1983年東京大会が最後です.
        バック表のカットマンの開祖は丁松でしょうか.

        秘密兵器と言われたのは張燮林,陸元盛,丁松ですね.
        カットで世界選手権シングルスを制したのは1981年の童玲が最後です.
        男子に至っては1952年の佐藤博治まで遡らないといけません.
        あと一歩だったのはシェラー(1969)と朱世赫(2003,本当は赫は火へんがつく)です.

  5. チュセヒュク選手はどうして粒なんですかね?
    変化をつけることよりもブチギレカットを出して、変化以外の方法から攻めて行くスタイルということなのでしょうか

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