お通夜のようなお花見

昨日は、フリーライターの特権を活かし、平日の昼にもかかわらず、花見に行ってきた。

夜の宴会のために午前中から場所取りをしている学生たちがいる中で、ひときわ大きなブルーシートを敷いて場所を確保しているところが目についた。

弁当がきちんと並べられ、上座と思われるところには、うやうやしく座布団なんか敷いてある。

これは・・・サラリーマンだ。それも、飛びきり硬い感じのサラリーマンだ。私が働いていた職場でも、夜の宴会のために若手社員が前夜から徹夜で場所取りをするということがあったが、この整然とした弁当の並べ方と上座の迫力はどうだ。

並々ならぬ硬さである。

 

しばらくしてから見ると、案の定、ブルーシートは紺のスーツ姿で正座をする男女で埋め尽くされた。

それで、次々と交代で上座の人物に酒を注ぎに行ったりなんかしている。それをいちいち横からカメラで撮影している者もいる。

談笑する者はひとりもおらず、まるでお通夜のような粛々としたお花見であった。

学生の読者にはわからないかもしれないが、会社員にとって、お花見は仕事なのだ。弁当がまずかったりしようものなら「事前に試食して選べ!」と罵倒されるのだ。そこで「まずいのも話のネタになって面白いでしょ」などと開き直るなどもっての他、出世レースからの脱落は約束されたようなものだ。

そんな光景を見ながら私は「トルネード」とかいう、ジャガイモをらせん状にして揚げたものを背中を丸めて座りながら食べたのだった。カレー味だった。ああ旨い。

 

 

お通夜のようなお花見” への 2 件のコメント

  1. 若手社員はもう花なんてどうでもいいでしょうね。早く終わってほしいと祈っていたことでしょう。そして自分自身の辛い体験を何年か後に後輩にさせてしまうわけですね。「オレの時は大変だったんだぞ。お前らは楽でいいな!」などと言ってしまうのかもしれません。こういう習慣はどこかで断ち切れないものなのでしょうかね。

  2. 新入社員で入ったころ、堅苦しいのが嫌いな支店長だったので歓送迎会もラフな感じでしたが、次の支店長の時も同じ感じでやったら会の最中に大目玉を食らったのを思い出しました。その支店長は今でも死ぬほど嫌いですが、知らないで歳を取って怒られるよりマシだと思って感謝しています。

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