不愉快な奇跡

かねてから私が「不愉快な奇跡」と呼んでいる現象がある。

偶然にしてはあまりにもできすぎた不愉快な現象のことだ。

たとえば部屋で歩いていると天井からぶら下がっている電灯のヒモがメガネのレンズとツルの間に偶然にもすっぽり入り、歩いただけでメガネが吹っ飛んでしまうとかだ。そんなこと、わざとやるとしたら相当に大変なことで、どれだけ時間がかかるかわからない。

足の甲の毛が靴下で擦れて、いつのまにか団子結びになっていて痛くて悲鳴を上げたこともある。よじれていただけではなく、本当に結ばれていたのだ。こんなこと、あるか!

今日、またひとつ「不愉快な奇跡」が起こった。

自動車から降りるときに、助手席に置いていたリュックを取ろうとしたら、ベルトが何かにひっかかって取れない。よく見ると、ベルトの穴にドリンクホルダーの端が入っているではないか。

畜生、よくもこんなところに入ったものだと腹を立てながら抜くと、まだリュックがひっかかる。よく見ると、もう片方のベルトの穴に、シートレバーがすっぽりと入っているではないか。

ふ、ふざけるなっ!

こんな、わざとやろうとしたら何千回、何万回かかるかわからないようなことが、なぜよりによって今日、起きたのだ?

神様だの運命だのは私は全否定だが、これが偶然だとはどうしても思えない。まあ、自然淘汰によって人類ができたことを思えばどうってこともないが。

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