成田空港で藤井基男さんと少し遅い昼食を食べた。藤井さんは、かの荻村伊智朗と親友であり、現役時代は世界最高レベルのカットマンであり、混合ダブルスで世界三位になっている。引退後は卓球レポートの編集長、サウジアラビアのナショナルチームのコーチ、日本卓球協会役員などをへて、現在は卓球愛好家としてニッタクニュースで連載をしている。卓球史研究家としても名著を何冊も書いており、まさに全身卓球家である。
私が卓球王国で文章を書くようになったのはまったくこの人のおかげだ。この人が推薦してくれなかったら、原稿を送りつけたところで難しかっただろうし、私も力が入らず、それなりのものは書けなかったように思う。
藤井さんは成田に住んでいるので、この機会にと会っていただいた。「荻村伊智朗は機嫌が悪いと、選手がパンの耳を残しただけで説教をしていた」とか「日本の卓球台がルールで暗緑色と定められていたのは、国際ルールのDark Colorの濃いという意味のDarkを暗いと誤訳した結果であることが1989年まで分からなかった」などという話をしていると、あまりに楽しくて、自分の父親より年上であることを忘れてしまう。
これほど歳が離れていてもまったく違和感なく、まるで友達のように会話ができるのは、藤井さんと、元タマスの久保彰太郎さんだけだ。いつまでも元気でいてもらいたい。