同僚のマイクがニヤニヤしながら「お前にぴったりの映画があるぞ」といって、公開されたばかりの映画「Balls of Fury」を紹介してくれた。なるほど、これは面白そうだ。少林サッカーとベストキッドをあわせたような感じのコメディである。
さっそく家族5人で見に行ってきた。最初、観客が5人ぐらいしかいなくて「お父さん、お客さんいないね」などと言われて沈んだ気持ちだったのだが、だんだんと多くなって、始まる頃には7割ぐらいは入ったように思う。
観客はしょっちゅう笑っていたのだが、英語がわからないためにその笑いの半分以上はわからず残念だった。それでもアクションだけで十分に笑えたので、日本語版をみたらさぞ面白いのだろうと思う。主人公に卓球を教える老師がいるのだが、これがなんと盲目で、それをネタにしたギャグが満載。老師がいいことを話そうとすると、横から老師の向きを話し相手の方に向くようにいちいち直されたり、あちこちにぶつかったり転んだりとバカにしまくっている。
卓球のボールはほとんどすべてCGで、めちゃくちゃである。主人公はデブだし、ライバルたちも全員おかしな奴らで、「卓球の達人はこういう変な人たちだろう」という幻想に基づいて描かれている。日本代表も出てくるのだが、なんと相撲の格好で出てきてマワシをしたまま試合をするのである。負けるとすぐに泣く10歳ぐらいの中国人の女の子や、いかにもオタクっぽい分厚いメガネの白人など、どいつもこいつも滑稽である(ドーサンで卓球の大会を見に行ったとき妻が「卓球しているアメリカ人ってかっこよくない人ばっかりだな」と言った。私は内心ギクリとしながらも「気のせいだ」と否定しておいた)。
唯一、ヒロインの東洋人女性がかっこいいのだが、こいつがなんとCGでも矯正できないほどのへっぴり腰。もっとも卓球の場面はあまりなく、だいたいはバク転したり吹き矢をよけたりして(そういう映画なのだ)飛び回っているのであまり問題にはならない。
最後の方は、主人公のデブとクリストファー・ウォーケン演じる悪の親玉が、卓球台を使わずに、竹やぶ、山道、つり橋などを歩きながらボールを地面につきながら試合を続ける(これでも勝負なのだ)というめちゃくちゃさである。
卓球がコケにされるなどと視野の狭いことを言ってはいけない。こんな形でも卓球が大衆に露出するのは良いことである。コメディにさえならないバドミントンのファンがどれほど悔しがっているか考えてみるのだ。