卓球王国のアンケートはがきに毎月かかさず私宛に近況を書いてくれる花巻の伊藤秀己さんにお会いした。電話で話したことはあるがお会いしたのは初めてだ。今週末にマスターズの全国大会が花巻市であったので、試合を見に行くついでに連絡をとって会場でお会いしたのだ。
驚いたのは、アンケートはがきに書いてくる近況がわざわざ下書きをしたうえで書いてきているということだ。以前は行き当たりばったりで書いていたのでオチもなくメチャクチャだったが、最近は下書きをするようにしたのだという。そこまで力を入れてもらっても、読者の投稿欄に載るような内容ではないし、真面目に読むのは私ぐらいだと思うので、なんとも申し訳ない気持ちだ。このままでよいのだろうか。
秀己さんは高校時代まで卓球をしたそうで、なかなか感慨深い話を聞いた。あるとき、指導に熱心な顧問の先生が「本気でやるヤツは明日までに丸坊主にしてこい。丸坊主にできるヤツは手を上げろ」と言うと3分の1ぐらいしか上げなかったため、その日からその先生は男子部員は相手にしないことになり、後に女子はインターハイに出場したという。坊主頭が勝敗を分けたわけだ。似たような話が全国のあらゆるスポーツ、勉強などの場に無数にあるものと思われる。先生の気持ちも生徒の気持ちもよくわかるだけに、なんとも感慨深い。
高校を卒業すると東北学院大学に入ったが、卓球の名門大学だったため、高校の先生から「お前は卓球部には絶対に入るな」と言われて断念し、そのかわり高校までの苛められキャラを払拭しようと少林寺拳法部に入ったという。「それで自信がついて苛められなくなりましたか?」と聞くと「打たれ強くなりました」とのことだ。目論見とまったく別の形ではあるが、苛めを克服したということのようでなによりである。
現在は仕事のかたわら、近所の知人を束ねてチームを作って卓球にいそしんでいるそうであるが、卓球経験のない運動神経の良い若者に本気でやって負けたという話がちょっと気になる。その素人の若者がどれだけ運動神経が良いのか、それとも秀己さんの実力があまりにも「問題あり」なのか、興味深い。一度お手合わせをしたいものだ。